朝ドラ純情きらりの動画を1話から全話無料で見れる動画配信を11社比較

2006年4月3日~2006年9月30日まで放送された宮崎あおい主演の連続テレビ小説第74作「純情きらり」

本記事では、朝ドラ「純情きらり」の動画を1話から最終話まで無料視聴できるサービスを調査しまとめました。

また、ドラマのあらすじやネタバレについてもまとめているので、参考になれば幸いです。

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②半分青い
③わろてんか、スピンオフ
④ひよっこ
⑤べっぴん、スピンオフ
⑥とと姉ちゃん、スピンオフ
⑦あさが来た、スピンオフ
⑧まれ、スピンオフ
⑨マッサン、スピンオフ
⑩ごちそうさん、スピンオフ
⑪花子とアン、スピンオフ
⑫あまちゃん
⑬純と愛
⑭梅ちゃん先生、スピンオフ
⑮カーネーション
⑯おひさま
⑰どんど晴れ、スペシャル
⑱てっぱん
⑲ゲゲゲの女房
⑳ウェルかめ、スペシャル
㉑つばさ
㉒だんだん
㉓瞳
㉔ちりとてちん
㉕てるてる家族
㉖純情きらり
㉗ちゅらさん、2、3、4
㉘風のハルカ、スペシャル
㉙あすか
㉚ファイト
㉛純ちゃんの応援歌
㉜わかば
㉝あぐり
㉞私の青空
㉟天花
㊱まんてん
㊲ふたりっ子
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朝ドラ「純情きらり」の基本情報や出演者・あらすじネタバレ

ここでは、朝ドラ「純情きらり」の基本情報をまとめます。

放送期間:2006(平成18)年04月03日~2006年09月30日
主題歌:「夢の翼」(チェロ演奏:長谷川陽子)
脚本:浅野妙子

あらすじ

舞台は愛知県岡崎市。有森家は、家長の源一郎、笛子、杏子、桜子、勇太郎の5人家族です。
主人公・有森桜子(宮﨑あおい)は信じることを簡単には曲げたりしない芯の強い女性です。姉の笛子(寺島しのぶ)や杏子(井川遥)と共に支え合って、太平洋戦争後の厳しい時代を生きていきます。戦前、合唱の伴奏をジャズ風に演奏し、謹慎処分になったこともあります。
それでも音楽が好きでこよなく愛し、桜子は上京します。画家の杉冬吾(西島秀俊)ら、芸術を志す有志達と同居しながら、ピアノを勉強します。一郎して音楽学校に合格したのだが、家族のために働き入学を断念しました。
故郷の愛知県岡崎市へ戻り、幼馴染みの松井達彦(福士誠治)と、彼の出征前に結婚します。達彦が不在の中、彼が稼いだ八丁味噌の老舗で桜子は一生懸命働き奮闘します。戦後達彦との間に子供を授かります。しかし程なく桜子は結核で倒れてしまいます。「輝きのない人生なんてない」とわが子に言い残し息をひきとります。
原案は、太宰治の娘・津島佑子の代表作「火の山-山猿記」。

ネタバレや見どころ

ここからはネタバレになりますので、詳しく知りたくない方は飛ばしてください。

詳しいネタバレが知りたい方はこちらをタップ
 

幼少期

愛知県岡崎市に住んでいる有森家には、家長の源一郎(三浦友和)、笛子(寺島しのぶ(少女期:北乃きい))、杏子(井川遥(幼女期:尾千瑛))、桜子(宮﨑あおい(少女期:美山加恋))、勇太郎(松澤傑(少女期:佐野観世))の5人家族です。近所には、亡き母・マサ(竹下景子)の実父で桜子達の祖父である沖田徳治郎(八名信夫)が住んでいました。
沖田徳治郎は、八丁味噌の老舗「山長」の職人として味噌一筋に生きており、ある日、勇太郎と桜子を連れて、味噌の仕込みを見学することになります。
桜子と勇太郎はかくれんぼをしていて、桜子が樽の中にいるかもしれないと思い、樽に登っていくと、山長の跡取り息子の達彦(柳井宏輝)がいたずらで、ハシゴを揺らし、そのまま樽に落ちてしまいました。
勇太郎は、姉が落ちたことを父に伝えようと家に戻り、みんなで山町へ向かおうとしたところ、偶然源一郎の妹(桜子達の叔母)の磯が帰って来たのでした。
山長の女将・かね(戸田恵子)と磯(室井滋)は同級生ということもあって、頼まれもしないのに一緒にいくことになりました。
山長に到着すると、徳治郎がかねに謝罪していたが、桜子は頑として謝ろうとはしません。駆けつけた源一郎が理由を聞くと、達彦に落とされたと話します。それを聞いたかねは怒り心頭、そこに磯がやってきて、罵り合います。
後日、かねに呼び出され徳治郎と源一郎は、達彦にも落ち度があったということで和解。
別件で、父・源一郎(三浦友和)に再婚話が持ちかけられます。
ある日、弟がいじめられていて我慢ならない桜子は、いじめっ子のキヨシ(村瀬継太)に果たし状を書きます。指定された場所にキヨシが来ます。桜子は勝利します。
そこへやってきた源一郎達が理由を聞くと、弟のズボンの継ぎあてについてからかわれたということを知ります。その継ぎあては不器用な桜子が縫ったものでした。それを聞いた徳治郎が「子供には母親が必要なんだよ」とつぶやきます。
家に戻ると、子供達にお見合いの話を打ち明けます。桜子以外はみな前向きで好意的でしたが、桜子は頑なに嫌がりました。
数日後、お見合いします。終始和やかにお見合いは終わり、お見合い相手の安江が帰ろうをすると、履物にいたずらをされていました。
その犯人は桜子で、祖父の納屋に逃げ込みます。父がやってくると二人で話し、マサへの愛情の深さに勝るものはないと悟ります。

女学生に

見合いを断ってから9年の月日が経ち、桜子は女学生5年生16歳になりました。友達の薫子(松本まりか)達と話をしていると、そこに達彦(福士誠治)が通り過ぎます。
桜子が達彦の知り合いと知った薫子は、彼女に達彦への恋文を渡してほしいとお願いします。しかたなく山長へ向かおうと間が悪いことに、かねがやってきます。手紙を見られた取り上げようとするかねに抵抗し桜子は逃げて帰りました。
後日、学校で、西野先生(キムラ緑子)から達彦に恋文を送ろうとしたことを問い詰められます。かねと取り合いをしたときに一部破片が残っていたのです。しかし、友達を裏切ることができず、桜子は黙っています。
その日はちょうど、西園寺公麿(長谷川初範)の演奏会の日でした。開演時刻が一刻と近づいた頃、どうしても帰りたいので桜子は自分が手紙を書いたとウソをついてしまいます。
会場へたどりつき、嘘をついてまで聴きたかった西園寺公麿の演奏会はすでに終わってしまっていて会場には、グランドピアノがあるだけで誰もいませんでした。
ひとりグランドピアノを弾いていると後ろから帰ろうとする西園寺公麿がやってきました。そのまま弾くよう促されます。弾くのをやめると「下手だね、君」といわれますが、当時まだ楽譜の出回っていない状況で「セントルイス・ブルース」の曲を耳で覚えて弾いた桜子に興味を示します。
帰り際、西園寺公麿から名刺をもらい「東京に来ることがあれば、寄りなさい」と言われます。
翌日、桜子は恋文騒動の件で、罰として新入生歓迎会のピアノ伴奏の役を降板されてしまいますが、薫子が西野先生に真相を告白したことによって、伴奏役に復帰できるようになります。
それでも疑い深いかねは、恋愛より東京の音楽学校で勉強したいという桜子に対し、安月給取りの娘が学費の高い音楽学校に行けるものかとこき下ろします。
「音楽に身分なんて関係ない!」と桜子は、一層東京の音楽学校への夢が強くなり、思いを父にぶつけました。しかし、源一郎は来年定年であり、男子である勇太郎を大学に進学させたいので「考えておくよ」と父は言います。
翌日、次女・杏子がお見合いします。気になる桜子は勇太郎を連れて様子を見にこっそり行きます。相手は名古屋の大地主で、河原亮一(池田鉄洋)という資産家の長男で銀行員です。
優しさや人間味の感じられない河原に対し、杏子は違和感を感じます。しかし河原家はこの縁談に乗り気の様子です。自分が嫁に行くことで、早く姉や叔母を安心させたい思いもあるが、杏子はためらいを隠し切れません。
新入生歓迎会の日、ピアノ伴奏をする桜子は、なんとジャズ調の「花」を弾き始めました。最初は呆気にとられていた客席もだんだんとノリがよくなり、少女達は若さと情熱できらきらと輝いていました。
時代を先取りした桜子のジャズ演奏は、町でちょっとした話題となりましたが、桜子は一週間停学処分となり、反省文を書かされることになります。

父の死

ある日、桜子は昔決闘したキヨシ(井坂俊哉)と散歩していたところ、昔馴染みと殴り合いに発展してしまいました。実は桜子に気があるキヨシは恥ずかしさからの殴り合いで、警察沙汰となってしまいました。
停学中の桜子は退学処分の危機に。父はわざと先生の前で娘の頬を叩き、猛反省の姿を示します。退学になってしまうと、音楽学校への夢は途絶えてしまうからです。

父は娘の夢を叶えるため、退職金の前借りを申し出ます。
夕方、雨がきつくなり、夜は土砂降りになります。市役所の土木課に勤める父は、土砂崩れの現場に駆り出され、有森家の娘達は不安になっていました。
土砂崩れの現場で、村人達を安全な場所へと誘導していく源一郎達。その時、源一郎は足元に白く光る水晶を見つけました。かがみ込んで手にとったその時、岩石が崩れ落ちてきました。源一郎は昏睡状態に陥り、一昼夜が明けても意識は戻りません。
次の日の夜、奇跡的に意識が戻ります。ひとり病院に残り父に付き添う桜子は、遺言のようなことを話す父に不安を感じます。そして事故原因となった水晶を桜子にくれました。
桜子はリンゴの皮をむき、源一郎に渡そうと振り向くと、父は穏やかに目を閉じていました。永遠の眠りについた父の顔は安らかでした。
桜子は書斎で父からの手紙を見つけます。
「東京の音楽学校のこと、いつか君が言い出すだろうと思っていました。しっかりやってください。君なら、だいじょうぶ」
桜子は、父の深い愛情と思いに胸がいっぱいになり、父からの手紙を抱きしめた。
そんな時、大荷物が届きます。なんと!ピアノが届いたのでした。源一郎が退職金を前借りして買ってくれていたのです。
「お父さん!・・・お父さ~ん!」
父の身代わりのようにやってきたピアノの前に、皆が寄り添い、父の大きな愛を感じました。
ピアノを遺してくれた父のためにも、音楽学校へ進学したいと桜子の思いは日々募っていきました。一方、笛子は、家計のことなど考えずピアノばかり弾いている桜子に苛立ち、口論となります。
その様子を見ていた次女・杏子もある決意をしていました。

初恋

杏子はお見合い相手の河原に「結婚したら、弟や妹の進学資金を援助してくれるかどうか約束してくれるかどうかを確かめ、杏子は結婚を決意します。
その年7月、杏子は白無垢のきれいな花嫁姿になり、河原家へ嫁いでいきました。
有森家は家族が減り、空き部屋ができたので、家計を支えるためにも下宿人を置くことにしました。そんな折、桜子は街で、いかにも生真面目そうな強い近眼の男性とぶつかりそうになりました。桜子はこの男が落としたカバンの中に、ショパンのレコードがあるのを見つけました。
斉藤(劇団ひとり)という名前で、この男性はちょうど下宿先を探していました。第2師範の物理教師であり、勇太郎の家庭教師もしてくれるということで、磯や笛子にも気に入られて有森家の下宿人に決まりました。
斉藤は哲学的な発言をするかと思えば、節約のために風呂もあまり入らず、頭をポリポリかきむしったりします。桜子は呆れていましたが、一風変わったこの男性を、磯は笛子の相手にどうかと考えていました。
桜子は音楽学校を目指しますが、独学では限界を感じはじめていました。桜子は西野先生に頼み込み、ピアノのレッスンをお願いします。桜子の熱意に押され、前年度の東京音楽学校の課題曲を3日後、どこまで弾けるようになるか、結果次第で指導することになりました。
桜子は女学校の音楽室にこもりきり、夜が更けるのも忘れて一生懸命練習します。斉藤は桜子に差し入れします。斉藤は早くに父を亡くし、貧乏で苦学し大学に進学したので志があればなんとかなります!と励まします。
桜子は音楽室で朝まで練習し、そのまま西野の前で課題曲を弾く事になりました。技術は到底及ばないが、曲を大切にする演奏に西野は心を動かされます。また笛子も桜子の熱意に今年一回限りを条件にし受験を許します。
戦争が少しづつ近づいてきます。親友・薫子の兄が出征することになります。桜子は薫子の兄は東京で左翼の活動をしていて、そのことが父親の会社に発覚し、気まづくなった一家は、町を離れるという危険を承知で薫子の兄の本を預かります。
斉藤は心配します。小説家になることが夢である薫子は、どこへ行っても志を曲げないで!と言い残し、立ち去っていきました。
親友を見送る桜子を、斉藤は見守っていました。「自分の中にどうしても曲げたくない、曲げられないものが何か一つあるということは、素敵だ」と言います。自分の気持ちを深く理解してくれたことに、桜子の斉藤に対する気持ちが変化しだしました。
桜子の胸の中で小さく繊細な感情が生まれていました。
昭和12年8月初旬、17歳の桜子は、学問一筋、不潔だけどクラシックに理解が深い斉藤に尊敬を不思議なときめきを抱いていました。

杏子離婚!?

一方、家族のために資産家に嫁いだ杏子から、お盆には帰れそうにないというハガキが届きます。お見合いで知り合った杏子の夫・河原の人となりを考えると、とても心配になった桜子は、斉藤と名古屋に向かいます。
妹との久しぶりの再会に、杏子は困ったように時間ばかりを気にします。顔色が悪い杏子を心配する桜子に、無理に微笑みました。
姉妹再会の間、応接間で待っていた斉藤は、うっかり骨壺の壷を壊してしまいます。
杏子の失態だと思った河原は、杏子の襟首をつかんで手を振り上げました。凍りついた桜子は、河原に抗議するが、杏子は「私達は上手くいっている」と言いました。
家へ帰っても、桜子は杏子の結婚生活が心配でした。
ある日、杏子からお金が届きます。河原が桜子の学費にと出したものでした。杏子のことを心配し笛子に相談するが、河原を紳士だと信じ切っているため話が通じません。
数日後の夜、桜子と斉藤が恋仲だと噂が流れ、徳治郎がやってくるのでした。桜子と斉藤は大人と子供ほどの年の差があり、磯は笛子の相手にちょうどいいと言い、笛子にもその気がある様子でした。
桜子は、家族を支えてきた姉が幸せになるならと、自分の気持ちを押し殺して、姉の恋を後押しすることにしました。

斉藤は、急に自分を避け始めた桜子を不思議に思いはじめ、洋品店で帽子でもプレゼントしようかと足を止めます。ところが、磯に偶然遭い、笛子へのプレゼントかと間違われます。
斉藤は誤解を解こうと庭にいる笛子に話があると誘います。結婚の話に違いないと磯も笛子も色めきたちました。しかし、斉藤は「桜子さんが好きなんです」真っ直ぐでやることにためらいがない桜子を尊敬し、好きだと言います。
川辺にただずんでいたところ桜子は、達彦に会いました。杏子が河原に殴られているところを目撃したというのです。桜子は河原家へ向かい、杏子の顔に青い痣ができているのを見て、有無を言わず杏子を連れ帰りました。
河原が杏子を連れ戻しにやってきました。「妹の学費欲しさに結婚したくせに」と言う河原に、姉を辛い思いをさせてまで音楽学校に行くつもりはないと言い、自分自身も決心します。
あんなに熱望した音楽学校への道を諦めてまで杏子を守ろうとする桜子の意志を組み、笛子は河原に「杏子を置いてお引き取りください」と凛とした態度で言いました。

失恋

音楽の道も閉ざされ、初恋も終わってしまった桜子でしたが、すぐに奨学金制度という新しい道を見つけました。しかし、今の実力ではこれまで以上に狭き門となります。
笛子は、望んでくれた人と結婚して、幸せに暮らすことを桜子に勧めました。そして、斉藤に桜子さんが好きだと言われたことを話します。嬉しさと戸惑いがありました。
斉藤のように懐の深い男性を大事にしたいけれど、自分には音楽の夢があり、ピアノの前に座り桜子の心は混乱していました。
奨学生の試験に受かる自信や可能性は少ないが、逃げ道に結婚を選ぶのは筋が違うと思い、桜子は自分ができる精一杯の誠意として胸の内をあるがまま斉藤に伝えました。斉藤は「この岡崎で教師として勤めながら、4年間あなたの帰りを待ちます」と言います。夢のような幸福を感じました。
ある夜斉藤にある電報が届きます。理由も言わずにその日の晩、東京へ行ってしまいました。何の連絡もないまま数日が過ぎ、やっと戻ってきた斉藤は、結婚を白紙に戻してほしいと言います。桜子の頭は真っ白になりました。
斉藤は、帝大時代の恩師から山口県にある海軍燃料工廠の職を薦められて、勉強をするため結婚どころではなくなったと話し、深々と頭を下げます。

そんな斉藤を理解し、桜子は送り出そうとします。勇太郎は怒りはおさまらず、斉藤の遺したノートや書類を燃やそうとします。すると破られた電報の紙片が目に留まりました。「ハサンスグコラレタシ」。母親の再婚相手が破産して、斉藤も多額の借金を背負い込む状況になり、有森家に迷惑をかけられないからと結婚を破棄します。
桜子は自転車に乗り、全速力でこぎ駅へ向かいます。「先生ー!」と叫ぶと、斉藤が立っていました。一緒に行かせてほしいと桜子は先生に言うが、斉藤は「音楽は、あなたの人生を照らす光。その光を失ったら、あなたは輝けなくなります。辛くても後ろを向いてはダメだ」と叱ります。自分を大切に思ってくれる斉藤を桜子は懸命な笑顔で見送りました。

桜子の挑戦

桜子は西野先生が選んでくれた受験の課題曲に不安を抱いていました。難易度が低い曲でこれでは勝負には不利な曲でした。しかし桜子の実力ではこれが精一杯だというのです。
西野先生は心底から楽しい思いが湧いてくるような桜子の演奏は、誰ももっていない才能であり、この特徴を活かせば合格する可能性があると考えていました。

目標に向かって桜子が練習に励む中、かねが乗り込んできました。達彦が山長を継がず音楽学校を目指すと言い出したのは、桜子のせいだと言うのです。桜子は喫茶マルセイユに向かいました。
店内では達彦が、ベートーベンのピアノソナタを流麗に弾いていました。課題曲の一つで、難しい曲でした。まるでレコードみたいな綺麗な演奏です。桜子は惨敗だと感じ、悔しさで拳を握りししめていました。
桜達彦は、音楽学校の受験の事で、かねと激しい親子喧嘩になり、ついに勘当するとまで言われていました。以来マルセイユに身を寄せています。
ピアノが上手い達彦は、マスターに頼まれて店で演奏していました。生演奏つきの喫茶店として岡崎で評判を呼んでいました。そんな才能があるのに、生まれた時から跡取りや将来が決められ、好きな音楽の道に進めれないのでした。

桜子は、かつて徳治郎の前でオルガンを弾いたことを思い出し、マルセイユで演奏会を開こうと提案します。達彦のピアノを披露し、多くの人が素晴らしさで感動すれば、かねも考え直すのではないか?そう思ったのでした。
演奏会を開催することになりました。ところが演奏会当日、達彦はすきを突かれ、かねが味噌職人達に連れ去られて納屋に閉じ込められてしまいます。
演奏時間が迫っても達彦が現れません。もう待てない!桜子は達彦の代わりに意を決して弾いた曲は「セントルイス・ブルース」でした。ノリのいい楽しい曲で、帰りかけた客がまた椅子に座り直してくれました。
必死になって客を引き止める桜子の様子を見ていたキヨシは、山長の味噌職人ですが、かねの命令に背く決心をし、達彦を開放します。

お客様への足止めも限界になった頃、達彦が息を切らしながら飛び込んできました。達彦はピアノ演奏を始めます。その演奏は素晴らしく聞く人を魅了し自分の世界に引き込んでいきました。
拍手喝采の中、一礼し、入口にはかねの姿が見えました。母の目は涙を浮かべ、達彦の音楽学校の受験を許可するのでした。
それから2ヶ月が経ち3月、東京音楽学校を目指し桜子と達彦は共に上京しました。ライバル心むき出しで連れない桜子でしたが、人の多い東京駅で心もとない様子でした。達彦は桜子に嫌煙されながらも、目が離せないでいました。
それから、桜子が似顔絵の絵描きさん(男性)に声をかけられ気を取られた隙に、2人の荷物が置き引きされてしまいます。達彦が少しその場を離れた際のことでした。2人無一文になってしまいますが、見かねた似顔絵描きの花岡八州治(相島一之)が、自分が住んでいるマロニエ荘に案内してくれました。
マロニエ荘は、古い建物だがちょっと洒落た西洋風のアパートでした。ランチルームにピアノもありました。一つだけ空き部屋があるということで案内されると、30歳ぐらいの杉冬吾(西島秀俊)という男性が全裸の女性をモデルにし絵を描いていました。
刺激的で桜子と達彦は驚きます。残り一部屋しか空いていないので、2人は相部屋になってしまいます。寝付けないまま受験の日を迎えました。

東京音楽学校の試験は一次から三次試験まであり、合格が決まるまで一週間近くかかります。桜子も達彦も無事一次を突破し、マロニエ荘で3浪人中のホルン奏者・小野寺ハツ美(たくませいこ)も無事通過しました。
ランチルームで宴会が開かれ、アパートの住民、花岡八洲治(相場一之)、小野寺ハツ美、画家志望の野上八重(原千晶)とダンサーの橘マリ(椋木美羽)が集まります。
宴もたけなわになり「さっき警察がもってきたよ」と置き引きされた荷物が渡されました。楽譜も無事でお金は減ってないのだが、なぜだか味噌が多少減っていました。

桜子は泊めてくれた上にお祝いまでしてもらってマロニエ荘の住人に素直に感謝するが、達彦は府に落ちない様子でした。
3次試験の日、桜子ははやる気持ちを抑え、かなり早めに試験会場となる奏楽堂に着いてしまいました。時間を持て余していると、ジャズのメロディーが流れてきました。桜子はその音楽に吸い寄せられていました。公園の一角にサックスをふいている男性を見かけました。
桜子は、体の芯からその音色に魅せられ、時がたつのを忘れました。
演奏が盛り上がる頃、いきなり壮士風の男性が怒鳴り込んできました。時局を考えると「メリケンの音楽」を演奏するのは「非国民」と非難する人間がいても致し方ないと思うが、だからといって力づくで楽器を奪い取ろうとすることなど、桜子は見て見ぬふりはできませんでした。止めに入ったところを、男性と突き飛ばされるのでした。
「痛い!・・・いったぁ~」
手を怪我し、桜子は我に帰りました。
実技試験の時間が迫っている!走りに走り、ギリギリセーフで試験会場のドアを開け、桜子は呼吸が乱れていました。桜子は、怪我した血がにじんでいる指で弾き始めます。
時々激痛が走ります。試験官の中に西園寺もいました。焦りと緊張のあまり、指が動かなくなります。達彦が指の怪我に気づき援護射撃をしてくれるが西園寺は冷たかったです。
「試験に合わせて気力と体力を整えておくことも、実力のうちだ」とでも、再び演奏するチャンスをくれました。桜子は本来の力と取り戻し演奏をしました。
しかし、とんでもないことをしたと桜子は後悔と虚しさでまいっていました。
3次試験の結果は、桜子の番号はありませんでした。
茫然とその場に立っていました。

桜子挫折からの決意

桜子は夜になってからマロ二エ荘に戻りました。脱力感でランチルームの前を通り過ぎる時、「桜子」と八洲治の声が聞こえてきます。「今まで置き引きで何人もひっかかり あんなに簡単にだまされたやつ、初めてみた・・・ 今日の実技で落ちるってほうに賭けてたのは・・・」
八重やマリ、冬吾も加わり、桜子や達彦、ハツ美達が何日目の試験で落ちるか、賭けていたというのです。
桜子は怒り奮闘して部屋へ踏み込みました。「私達が、音楽学校に受かるか落ちるかって賭けしてたの?ニコニコして、親切そうなフリして、しかも、陰で置き引きなんかしとったの?」
といい、また許せないことに冬吾以外のみんなが、桜子が落ちるほうに賭けていたことでした。この試験のためにどれだけ命がけで練習してきたことか、今更慰められても遅いのでした。
「試験つうのは、そったに命がけで練習するもんだべか。まずお前は、はんかくせ、ほんづねおなごだな」と冬吾の腹が立つ信じられない一言でした。
桜子は部屋へ駆け込み、頭から布団を被り号泣しました。試験は終了したが、合格した達彦と一緒に汽車に乗って帰りたくはなかったので。1日帰るのを延ばしました。
笛子たちは、夜岡崎に戻った達彦から、桜子の試験の経緯が報告されました。
どんな顔で桜子にお帰りと言えばいいのか…. しかしマロニエ荘のランチルームでは、桜子のことはお構いなしに騒いでいました。
大声や騒音は我慢できるが、ピアノの音だけはつらすぎました。
泣き尽くして枯れていた涙が再びこぼれてしまいました。桜子の音楽への道が閉ざされてしまいました。
「ピアノはもう弾がねのが」ときくと「弾きません」と答えました。
冬吾は一本の絵の具を出し、わずかなお金しかない時は、食べるものより絵の具を買いたい。空腹でもいい、絵を描きたい。「好きなもんだばやめられね。人に何を言われようが、そすたもんだあ」と冬吾は言い、だからこそ八洲治や八重もマリも、みんな必死になって東京にしがみついているのです。
八洲治は上野の美術学校にこっそりもぐり込んで授業を受けているのです。「なんつっても美大にはモデルがいるし、絵の具も拾えるし、人の絵を見るのも面白いしなあ」
三浪して合格したハツ美は「東京音楽学校ってね、田舎から出てきて一発で受かる人なんてあんまりいないのよ、東京で音楽学校の教授にレッスンを受けて、少なくとも一年間はみっちり勉強しないと受からない」と桜子に親近感を持ち言いました。
「そう・・・そういうもんなんですか・・・」桜子は自分の甘さにぼう然としました。
合格の近道は有力なツテを使うことかもしれない。
桜子が岡崎でちょっとだけ会話した西園寺の名前を出すと、「そんないいツテ、利用しない方法はないわよ」とアドバイスをしてくれて、桜子の心が大きく動きました。
桜子はいつまでも東京にいるわけにはいかない、これが最後だと奏楽堂の前にたたずみ、音楽の殿堂を脳裏に焼きつけておこうと思いました。
「ああ、そうだ、君の演奏」西園寺は桜子を思い出し、止まってくれました。
「よかったですよ。もう少しのところでね。3次試験の実技、あの時は音楽を楽しむことを忘れていましたよね。岡崎で聴かせてもらった時にはそれがあったのに、残念です。いいもの持っているのに」とコメントをくれました。
マロニエ荘では桜子を心配し上京した笛子が待っていました。残念だったといたわるように桜子の手をとりました。いったんはしおらしく預けた手を、桜子は自分から離しました。
「一年間ここで勉強してもう一度、音楽学校を受験したいので、お願いします。許してください」とお願いしました。笛子は一気に疲労の波が押し寄せてくることを感じました。あれほど約束したのに「家族の迷惑も少しは考えたらどうなのよ』と笛子。
「自分で働いて、生活費 稼ぐから」と笛子は今後一切の援助をしないと、これが最後だからとつげました。

桜子の東京での闘いが始まりました。マロニエ荘には同じような境遇の仲間が生きています。八重は親に勘当され、マリは十年も家に帰っていません。そんな仲間に背中を押され、桜子は西園寺を訪れました。「先生の弟子にしてください」西園寺は、拍手抜けするほど気さくに桜子にレッスンを教えてくれました。
1回目のレッスン料を聞くや否や頭から血の気が引きました。早く働いてお金を稼がないといけません。しかし、東京に身元保証人もいない桜子には、簡単に仕事は見つかりそうもありません。桜子はくたびれ果てた足をひきずりマロニエ荘に戻りました。
ランチルームの扉を開けると、数人の男達に囲まれた裸の八重がいました。八重はもともと乳母日傘で育ったお嬢さんだったといいます。それが生活費を稼ぐ為に全裸のモデルをしているのです。冬吾は「あんだにも、あれぐれの覚悟、あるのが」と聞きました。桜子はあるとムキになって返事をしました。かなり無理をしていました。
「結局、桜子は八重が紹介してくれた定食屋で皿洗いをすることに決まりました。
ある日、その店に叔母の磯が現れました。桜子は努めて明るい声をかけ「アパートにね、ピアノがあるから、昼間練習できるんですよ」と健気に振る舞う桜子。磯は封印した過去の扉に手をかけました。磯は東京で青春をすごした街でした。磯の過去は家族は誰も知りません。

磯の過去

東京に来た磯が呼び出したのは、鮎川(中山仁)というかつて愛人だった初老の男性でした。「お金が必要なんです」と単刀直入にいう磯に、鮎川は一拍おいて、笑い出しました。磯は10年前に、別れる際にお金などビタ一文いらないと啖呵をきったからでした。 磯は苦い思いを飲み下しました。
桜子は西園寺に、レッスン料が払えないことを、正直に打ち明けます。ところが、西園寺はニコニコとスマイルでした。「お稽古代なあ、半年分先にいただきましたよ。君の叔母という方から」
「・・・えっ!」
マロニエ荘で、桜子は磯と膝を突き合わせました。「そんな大金、事情もわからずに受け取れんよ』磯は一つ息をつきました。この一年間、桜子も悩み苦しみ成長しました。不倫関係にあった磯と鮎川のことも理解してくれているでしょうし、磯にも見に覚えがありました。
若い時の情熱は抑え切れないものがあり「やらなきゃ後悔するから、やるだけやってみなさい。笛ちゃんには内緒よ」「叔母さん」と桜子に、心強い味方ができました。

マロニエ荘

西園寺塾初レッスンの日、桜子が待合室のサロンに案内されると、岩見沢るり子(初音映莉子)を中心に、令嬢風の娘達が集まっていました。東京の高名な教授のもとに集まるのは、生活も実力もレベルの高い人達ばかりでした。
その中で1年間、西園寺の弟子として修業を積み、再度受験に挑戦できるのだからよかったです。「お父さんの一周忌には家に帰り、できれば笛姉ちゃんと仲直りがしたい」と磯宛の手紙に感謝の気持ちと一緒に、近況を書きました。
定食屋で食器を洗っていると、思いがけない客が2人、やってきました。達彦はともかく、るり子が何のために来たのかというと「西園寺塾、おやめになってくださらない」というのでした。
これには桜子ばかりか、連れて来た達彦も唖然となりました。
るり子の価値観からしたら、貧乏人には音楽家にはなれないというのでした。
桜子は以前、かねから「安月給取りの娘」と馬鹿にされたことがありました。
仕送りでのんびりと学校に通う達彦からも、るり子と同じ匂いがします。「ほいでも私、負けないからね。何の苦労もせんで、勉強だけしとる人には絶対に負けん」と屈辱感と悔しさで意気消沈した桜子に、笛子からの手紙が届きました。仲直りの期待に目を輝かせた桜子の顔が、次第に曇っていきました。
「一周忌に帰ってくる必要はありません・・・」しかも笛子の意向で、磯からの援助はこれまでに、もらった分のみで打ち切られるというのでした。
桜子は歯を食いしばってピアノを弾くのみでした。
だからこそ練習の成果のありったけを、西園寺のレッスンにぶつけました。
西園寺は桜子窓辺に誘い、植え込みの隙間に咲く小さな野の花を見せ、「野に咲く花は美しい。逆に一分の隙もなく整えられた花壇は美しくない。あなたの今日の演奏、あれはまるで真四角な花壇ですね」と言われました。
西園寺の表現は、ピアノの響きのように優しかったです。だが、その表現は、桜子の胸に突き刺さりました。演奏も面白味、音の色気、どうしたら自分の指から生まれるのか、、、桜子は疲れ果ててピアノに突っ伏せて眠ってしまいました。
「根詰め過ぎだな」
といつもは辛口な冬吾が、ニュー・オリンズというダンスホールに桜子を連れ出しました。

店内に入るととたんに、さざめく夜の光と煙草の煙、生のジャズ・バンドの演奏が、桜子を押しつぶすように襲ってきました。初めて目の当たりにした東京の大人の世界でした。
昭和初期、東京で隆盛を誇ったダンスホール、そしてジャズ。最後の残光が、桜子が射抜きました。曲は「セントルイス・ブルース」桜子と父の思い出の曲でした。
ステージには見覚えのある男性が立っていました。
音楽学校の受験の日、上野公園にいたジャズマンでした。秋山圴(半海一晃)というジャズ界では有名な奏者でした。
秋山の演奏にうっとりと聴きながら周りを見渡すと、マリが見事な踊りを披露していました。
いくら踊りが上手くても、若い新人ダンサーが入ってくると、客からの指名が減ってしまう人気商売のつらさがあります。
ダンサーは完全歩合制なので、指名の増減は即、収入につながります。ダンサーとして崖っぷちに立つマリは、生活のために好きでもない男性の愛人になり、養われおうとしていました。
普段は何かと干渉する八洲治、ハツ美も「ほっとくしかないだろ」と静観の構えでした。
桜子はダンスホールに行ってから、ジャズ熱にとりつかれたようでした。
桜子がしばしジャズを聴きに行っていることが、達彦にもわかってしまったのでした。
「ダンスホール?!・・・ですか?」と達彦が血相を変えて言っていました。
当時いかがわしい場所ととらえる人も多くいました。
マリが自爆自棄になりそうだったのので気にかかった桜子は、財布の中身をはたいて、指名チケットを買いました。
ところがマリから拒まれた桜子は、チケット欲しさの男性ダンサーと、あれよこれよという間に一緒に踊ってしまっていたのでした、達彦が店に来るとは夢にも思ってなかったからです。
「なんでこんなことやっとるんだ!」カーとなって怒り達彦は桜子をそのダンサーから引き離しました。
秋山の演奏にうっとりと聴きながら周りを見渡すと、マリが見事な踊りを披露していました。

達彦が来る?!

やはり桜子に悪影響を及ぼしているのは、マロニエ荘の連中に違いないと達彦は、アパートの住人達を悪い様に非難しました。彼らはもう桜子の友達です。それを頭から否定されて、桜子は反撃しました。「みんな、生きるために必死で頑張っとるの。私だって頑張っとる。ふじだらだなんて、決めつけないで」桜子には、何もやましさもありませんでした。
達彦は怒り奮闘だが、桜子を突き放すこともできませんでした。
それならば、自らがボロアパートに乗り込む、いや移り住むことでした。

「一体、何、考えとるの?:
みんなの悪口を言ってたと思いきや、一緒に住もうとは。
非難する桜子に、わざとむっつりしていた達彦でしたが、とうとう言いました。
「だから俺がここに来たのは、お前がおるからだよ!」
それでいて恋愛感情ととられるのがわずらわしくて、監査役などあわてて付け加えました。

桜子はますます不愉快になり、桜子には仕事の前と後の1、2時間しか練習時間がないのでした。
「私がいる間は、このピアノは私のもんなの、そこ、どいて」と桜子と達彦が喧嘩しているのを、八洲治は野次馬の目を輝かせて見ていました。たしかにマロニエ荘の住人達は一癖ありました。
八重はいとも簡単に裸のモデルを引き受けるし、夜は花札をする住人達。
桜子は同じ部屋の奥でピアノに集中していました。
やってられないと達彦がランチルームを出ようとすると、いつの間には玄関にいたマリが、愛人の熊井(佐藤誓)と濃厚キスをしていました。
「やっぱり変だよ。絶対変だよ。こいつら」とぼやきながら振り回されている人達でした。
そして、マリのダンサーとしての最後の夜がきました。マロニエ荘からも去っていく日がきました。
指名のこないマリは、ひそやかな壁の花になっていました。
達彦はある決意を秘めていました。
「ダンスホールの出入りが学校に発覚すれば、厳しい処分を受ける。
それを承知のうえだ、桜子を守り桜子が夢中になっているものを共感しようとして来ているのだから・・・」
やがて閉店時間となり、誰もいなくなったホールに、マリはぽつんと立っていました。
ここで輝いて過ごした時もありました。
「最後のダンス、私と踊ってください」と桜子が前に立つと、マリは桜子の手をとり、ゆっくりと踊り始めました。
桜子は夢を放すまいと懸命に手を伸ばし、マリは夢のかけらを自ら手放そうとしていました。
二つの思いが重なり、どちらも感無量でした。マリは愛人になることを辞めました。
熊井から、桜子と達彦はともに逃げ出しました。

マロニエ荘で、冬吾達がしんみりお酒をたしなんでいると、威勢のいい声で、桜子、マリ、達彦がランチルームになだれ込んできました。
酔ったマリは涙目で「気がついた、本当に怖いのは貧乏ではない、一人になること」お金がなくて、食い詰めて、野たれ死になっても、仲間がいる。
桜子や八重、ハツ美、冬吾達は、そして達彦までもが、同じ思いを抱き、温かい笑みを交わし合いました。

笛子と対決

翌朝、マロニエ荘に、笛子が立っていました。
岡崎の有森家では、桜子をどうすればいいのか、徳治郎(八名信夫)も交えて意見討論していました。
仕送りがもらえなくても家族の絆は大切にしたいと思った桜子は、「ダンスホールに行ってきました」と、悪びれずに書きました。
さすがに仰天した笛子は、桜子を連れ戻さなくてはと思い駆けつけてきたのでした。
マロニエ荘に招き入れられた笛子は、八洲治や冬吾の口の悪さにギョッとしたりカーとなったり落ち着きません。
汚い食堂屋だし、このままでは妹を身を持ち崩してしまうだろうと心配な様子。

「この東京でしか学べんことがあるんです」と達彦は桜子の気持ちを代弁しました。
八重、ハツ美、マリ、八洲治、そして冬吾も黙っていられなくなり、みんなで支え合っていることを笛子に訴えて、桜子の肩を持ったのでした。
突然、徳治郎の野太い声が玄関から響き、住人を見回し、仁王立ちになりました。
桜子は即、徳治郎に土下座しました。「もう少しだけここにいさせてください」「僕からもお願いします」達彦。徳治郎にとっては山長の跡取り息子が言葉を添えます。
「待って、おじいちゃん。私に免じて、桜子を許したげて」笛子が言ったのでした。
来春の受験までという猶予を与えてくれたのでした。

「おじいちゃん。私、おじいちゃんやお姉ちゃんを後悔させるようなことはしやあへんよ。立派な音楽家になってみせるから」
翌朝、笛子と徳治郎は岡崎に帰っていきました。
桜子は音楽に邁進する日々を送り、季節は夏になりました。
「ある日、銀座のカフェで、達彦とレッスンの話をしていて、少し離れた席に女学校時代の親友、薫子の姿があるのを発見しました。
達彦への恋文をめぐる騒動や、反戦への意識で危ない橋を渡ったこともありましたが、現在薫子は自立し、東京の出版社で編集の仕事しているというのでした。
薫子は「斉藤先生にお会いしたい」というのでした。

斉藤は、実家の破産の件で東京の裁判所に来ているのだというのでした。
薫子は別件の取材で、偶然斉藤を見かけたのでした。
桜子は切なく胸がキュンとしました。桜子と斉藤を再会させてくれるという薫子の好意に、桜子は思い悩みました。会えば、音楽だけにかけると決めた心が乱れてしまいそうでした。
さらに桜子を悩ませたのは、西園寺がドイツ演奏旅行の同行を達彦に打診しました。達彦が高く評価されていることは、桜子にもかわっていました。西園寺のレッスン態度が、桜子と達彦では明らかに違うこともはっきりしていました。
この悔しさから立ち直るためには、内面から沸きいずるエネルギーが必要だと桜子は思い、ジャズに情熱を求めて、秋山にすがりました。「ジャズが弾きたいんです、教えてください」「ジャズは男の世界だ、女に教えることなんかないよ」秋山はつれなく答えました。
それに、日本ではもう、ジャズは演奏できなくなるかもしれないのです。

こうして桜子がダンスホールに出入りしていることを、るり子が西園寺の執事、松尾(村杉蜂之介)に言ってしまいました。
西園寺に知られる前に、なんとかここをおさめなくてはならないと達彦は焦りました。
「もう行くの、やめろよ」
「うるさいよ、達彦さんは!私は大人なんだよ。自分のやることは自分でわかっとる。
一つ二つ年上だからって偉そうにせんといて」
とここ数か月で、桜子は働きながら勉強し、たくましく成長していました。
でも、斉藤をことを思うと気弱になるのです。
薫子は銀座のカフェで斉藤と会う約束を取り、つけてきました。
時間ギリギリまで、桜子は迷い、桜子は四面楚歌の状況にありました。
斉藤を無心に好きになったことを思い出し、桜子は部屋を飛び出しました。
ところが約束した店に斉藤の姿はなく、一通の手紙を薫子は預かっていたのでした。
「後ろを振り向かず、前を向いて頑張っていってっください。心から、あなたの前途の幸福を祈り、応援しています」
音楽への道を貫こうとしている桜子のことを思い懸念してくれた手紙でした。

斉藤の深い思慮に感銘を受け、「このほうがかえってよかった」と、それでも会えなかった寂しさは否めませんでした。
ひっそりと泣いている桜子に、力になれない達彦は切なく、胸がつぶれそうでした。
そこに冬吾がやってきて、「まだお前は、男とおなごのこどはなんもわかってねんでねが」と言い、ムッとする桜子を、映画鑑賞へ連れ出しました。
桜子は映画にすっとのめり込み、心が解き放されるほど、感動しました。
桜子は夢を取り戻した様子でした。
次のレッスンの日、やる気をみせた桜子は西園寺のサロンに入り、譜面を開きました。
しかし肩透かしをくらったかのように西園寺は不在でした。さらに松尾は、ダンスホールに出入りしている桜子を門前払いをするかのように追い返したのでした。

東京にいるのに、学ぶ場所を失い、桜子は再び秋山を頼りました。
「ここには、私の好きな音楽があるんです」とうとう達彦は、桜子をきつくとがめました。
性懲りもなくダンスホールに出入りするのは自分で自分の首を締める行為だと、業を煮やしたのでした。桜子は達彦の意気地のなさを責めました。
「所詮、おぼっちゃまなんだよ、達彦さんは「そうじゃないよ!」と達彦の背中には、店や従業員の生活がかかっていました。
すべてを放棄して、好きな気持ちだけで突っ走るわけにはいかないのでした。
達彦が苦しいのはそれだけではなかったのでした。
「君は俺の気持ちを全然わかっていない」瞬間、桜子と達彦の心が触れ合いました。たまらず、達彦は桜子を抱きすくめていました。
しかし、桜子の現実は恋愛どころではなく、大きな危機に瀕していました。
桜子を西園寺塾から除名すべきだと、塾の生徒達の署名が集められていたのでした。
「有森がダンスホールに行ったのは、遊びではありません。そこに素晴らしいジャズの演奏家がいて・・・・・」
西園寺に対し、臆することもなく恥じることもなく、達彦は音楽への情熱がほとばしっている桜子の気持ちを語りました。
西園寺はすぐに笑顔になりました。ヨーロッパではダンスは上流階級のたしなみだし、西園寺は音楽学校ではありません。
るり子は納得できず、桜子を才能のない生徒だと決めつけた時、西園寺は桜子の潜在能力を証明してみせたのでした。
たぐいまれな聴力と、音楽を即興でアレンジする特別な能力だと言うのでした。
「ほかの誰にもない才能です」西園寺に太鼓判を押されて、桜子自身驚き感動していました。
西園寺の指導はジャンルにとらわれず、可能性を秘めた若い芽を成長させ、開花させることにありました。
それならば達彦には西園寺に同行してドイツで学んできてほしいのでした。
達彦は絶好の機会を逃そうとしていた。
桜子は定食屋で働いた給料をはたき、達彦に帽子を買ってあげました。
ドイツ行きの餞別でした。今度は桜子が達彦の力になりたかったのでした。
プレゼントを開いた達彦がピアノの練習をしている桜子の隣に腰を下し、「ありがとうな」「私は、達彦さんの味方だよ。これからもずっと味方になるでね。誰に何と言わても」
と桜子の方から達彦の唇に触れたファーストキスでした。

そのまま達彦に肩を抱き寄せられると、桜子は素直にそっと寄り添います。
それから「そこの弾き方、違う。そうじゃないだら」「いいじゃん!これで」
桜子と達彦は肩を寄せ合いピアノの連弾をしているにもかかわらず、けんかをしていました。
マロニエ荘は平穏な雰囲気に包まれ、岡崎では新しい生活が始まろうとしていました。
居候をやめ有森家を出た磯が、洋裁店を開き出しました。
商売が軌道に乗れば、桜子や大学に進学する勇太郎に仕送りもできるようになります。
調子に乗って磯は、達彦の下宿を知っていると、かねに言ってしまったのでした。
マロニエ荘から外出しかけた達彦の心臓は、いきなり縮み上がりました。
かねがいるではないか!
夏の嵐を予感させるような、何の前触れもないかねの出現でした。

かねは、胡散臭そうに、マロニエ荘の外観や住人達を見て「どこが?お洒落な洋館なの?」
いきなり噛みついてくる母に、達彦は「西園寺先生のところに行くと口からでまかせを言いました。
ところが、かねは挨拶をしたいからと、達彦についてきてしまいました。
西園寺にとっては突然の訪問となり、そのせいか達彦の母親がわざわざ上京して挨拶に来た理由を、西園寺は誤解しました。
達彦がドイツ演奏旅行に同行する件だと勘違いしてしまったのでした。

危惧していたとおり、これまで低姿勢だったかねは、西園寺に食ってかかってきました。
「うちの息子は、店の大事な跡取りなんです。将来音楽家なんて、ほんなこと考えてもらっては困るんです」
マロニエ荘の怪しげな住人達も、達彦の危機を救おうと紳士淑女を装うことにしました。
とはいえ、ボロが出そうになります。ボロをごまかそうとすれば、ますますドツボにはまります。
桜子がこっそりを自分の部屋に入ろうとしたことがバレてしまい、憤ったかねは、桜子に踊りかかりました。
「違うんだ、母さん。」達彦はかねを止めようとした勢いで叫びました。
「俺が有森を好きだから」
「な・・・なんだって」
そして、とうとう達彦は切れました。
「いい加減にしてくれよ、二言目には跡取り跡取りって!」

部屋で息子と机を並べていても、かねは眠れませんでした。
国家騒動員法が発令され、味噌は国の許可のもとでしか造れなくなっていました。
それに加え、若い職人に赤紙が届き始めています。
すっかり気弱になったかに見えたかねだが、やはり一筋縄ではいきませんでした。
翌日の朝、かねはとっとと達彦を連れ帰る支度をしていたのでした。
「達彦さんのこと、ドイツに行かせてあげてください。達彦さんは本当に才能があるのです」と桜子は言い、かねは桜子を睨みつけました。
そこへ達彦の父・拓司(村田雄浩)がのこのこと現れました。岡崎で酒を飲み息子に会いたくなって、夜汽車で東京まで来てしまったというのでした。
拓司は、息子のドイツ行きの話を聞き「達彦とサシで話がしたい」ときっぱりとかねを寄せつけませんでした。
「男親の出番だ」とかねは不承不承、先に帰ることになりました。
息子と向かい合い、拓司は達彦が自分の道を貫くことを望みました。
かねのことは、自分が時間をかけて説得するからと請け負ってくれたのでした。

「お前は好きな道に進んだらいい」「!・・・父さん』
桜子は拓司と源一郎と一緒に涙ぐみました。
早速西園寺に報告しようと、桜子と達彦と一緒に訪ねると、西園寺は浮かない顔をしていました。
西園寺は軍歌の依頼を受けていたのでした。
軍の仕事を断れば学校に迷惑がかかると思い、西園寺は学校に辞表を出しました。

そうなるともうドイツ旅行どころではなくなっていました。
マロニエ荘に帰ると、新聞や雑誌記者がアパートの正面に押しかけていました。
冬吾の絵が、美術界で有名な賞を受賞したのでした。
記者達の中に、薫子もいました。
「先日のお話しました大陸への取材旅行、ぜひご参加願えませんでしょうか」八洲治にすれば、いい条件の仕事でした。
「そっだな仕事は、俺は受げね」軍部に協力する戦争の絵を求められていたからでした。
薫子は戦争には反対だったはずでした。
遠慮がちに薫子に問いかけた桜子は、耳を疑いました。「でも日本はもう戦争を初めてしまったのよ。私一人がやいやい言ったところで、どうにかなるものではないわ」たしかに、戦争の不気味な影が庶民の生活をおおい始めていました。
戦争をどうとらえるか、それぞれが人生の岐路を迎えることになります。
八洲治は薫子の出版社に自分の絵を売り込み、冬吾が断った戦争の絵を描くために大陸に渡ることになりました。
桜子は、戦争に向かっていく時の流れに何もできない無力さを虚しく感じていました。
何かできることがあるかもしれないと、桜子と達彦は、軍歌の作曲を断った西園寺の辞表撤回を求める署名運動を開始しました。
「俺の署名していいかな・・・」ペンをとったのは秋山でした。
20年も前に、秋山の才能を見つけたのは西園寺でした。秋山は資金援助まで受けておきながら、恩返しできない不義理を作ったり、連絡を断って久しいというのでした。
桜子達の署名運動に、西園寺は自分を慕う才能を育てる責任を痛感し「僕は軍歌を書きますよ。軍部の要求に合わせた勇ましい曲を」マロニエ荘にも重たい空気がただよっていました。
八洲治が大陸に行くことになり、冬吾は憂鬱になりました。
「描きたくない絵を描くと心がすさむ」西園寺の、気の進まない軍歌を作曲します。

署名運動を招いた結果だけに、桜子も心苦しかったのでした。
西園寺は軍人達を自宅に招いて、軍歌の発表の場を設けました。
ところが、無神経な横柄な軍人達に怒りが沸き、どうしてもピアノを弾く気になれませんでした。
軍人達は次第に不機嫌になっていきました。西園寺の窮状を救ったのは秋山でした。
譜面を読んだ秋山のサックスから、いかにも軍楽曲らしい華やかなマーチが繰り出されました。

血沸き肉踊る名曲が誕生しました。
桜それから数日が経ち「チチキトクスグカエレ」という電報を達彦が受け取りました。
翌日、冬吾を探して東北訛りの女性がマロニエ荘にやってきました。
居留守を使った冬吾は、それっきりいなくなってしまいました。
達彦、八洲治、冬吾がマロ二エ荘からいなくなりました。
達彦からは何の音沙汰もありません。
桜子は拓司の見舞をかねて、岡崎に帰ってみることにしました。

かねが、枕元で泣き崩れていました。
拓司は、達彦に何かを言い遺すように唇を動かしました。
「頼んだぞ」そんなふうにもきこえます。
そんな禍中に桜子は山長を訪ねてしまったのでした。
ピアノや西園寺の話を切り出す桜子に、達彦は気もそぞろで冷ややかでした。
「帰ってくれないか。今、君と話してる余裕、ないんだ。ごめん。」

拓司の臨終に接し、達彦は自分が喪主なのだと自覚しました。店の帳簿も初めて見ました。
仕入れも滞り、深刻な状況にあることに茫然とします。
店のことなど右も左もわからない達彦に、拓司のノートが遺されていました。
仕込みの分量から店のことまで詳細に記されていました。

生半可なことでは生計を立てられない音楽の道でした。
もし達彦が、力尽きて岡崎に戻った時に渡すようにと、古くからの職人に託されていたノートでした。
影が薄かった拓司が職人達に信頼され、店の屋台骨を支えていたのでした。
達彦につれなくされ、とぼとぼと帰った桜子を、有森家の人達は温かく歓迎してくれました。
久しぶりになごやかに食卓を囲みました。
拓司の訃報に触れたのは、夜になってからでした。
家族と共に拓司の通夜の席にあがろうとする桜子を見るなり、かねが立ちふさがりました。
「待って。あんたはあがらんで」山長の不幸の元凶は桜子にあると思っているのでした。
「お線香、一本でいいんです。あげさせてください」
かねは頑なに拒みました。しかも達彦までもが、桜子に背を向けてしまったのでした。
桜子と達彦に恋が芽生えかけていることを、笛子はうすうす感づいていました。
可哀想だがこの恋は実りません。大店の跡取りと桜子とでは、住む世界が違うのです。
「達彦さんは音楽家になるんだよ。お店には継がんわ」桜子は音楽を諦めないと言った達彦を信じました。葬儀が終わり、数日が過ぎたある日、達彦が桜子に会いに来ました。
山長の当主として、拓司の遺志を継ぐ決心を伝えにきたのでした。
「親父が死んで、何もかもが変わった。おふくろがしっかりしとるようで、案外頼りないこともわかったし・・・」

桜子の胸にぽっかりと穴があいたようでした。
達彦の中ではまだ、桜子への思いと拓司の遺志がせめぎ合っていました。
急に気弱になった母が哀れでもあるが、桜子を心から追い出すことはとうていできませんでした。
達彦の真意を、桜子も測りかねていました。何も手につきません。
2人は神社の境内で偶然出会います。
「俺、有森とこのまま、終わりたくない」桜子だって達彦と会いたいのです。
だが、かねの目が気になって、容易に連絡もとれません。
桜子は境内の木に結ばれた紙に目を留め、「結び文。いつどこで会おうって紙に書いて結んどくのね」とロマンチックな提案に2人が微笑んでいると、背後の戸がギーッときしみ、不気味な影がぬーっと現れ、桜子は悲鳴をあげました。「なーにたまげでる。俺だ」「・・・・冬吾さん」
有森家に一宿一飯を求めて、薄汚れた男が桜子を訪ねてきたのでした。マロニエ荘を出て放浪していたあの冬吾でした。
冬吾を連れ帰った桜子と笛子が口論している間に、冬吾はいつの間にか書斎に入っていました。
源一郎の遺した鉱物を、熱心に描いています。冬吾はそのまましばらく有森家に居ついてしまいました。
桜子が東京に帰るころには冬吾も一緒だろうと、笛子はそれまで我慢することにしました。
ところが桜子は「8月一杯こっちにおるから」と涼しい顔をしていたのでした。西園寺は演奏旅行中だし、達彦が岡崎にいるからであった。
早速達彦から結び文がありました。
桜子は元気一杯で、指定された喫茶マルセイユのドアを開けました。「久しぶりにピアノ、聴かせてよ」マスターの軽い一言に、達彦はためらいました。
笛子は着物の裾をおはしょりして、勢いよく井戸水を流し洗濯を始めました。冬吾は、肌を露出した働き者の笛子を美しいと眩しく見つめ、部屋に戻るとそのままデッザンしました。
「何ですか、これ」笛子は肌が露出している自分の絵に赤面しました。
冬吾は、なぜ笛子がデッサンをいやらしいと激怒しているのか皆目わからないまま、有森家から追い出されてしまいました。

桜子が達彦と会い戻ってくると、冬吾はいませんでした。
笛子は平静を装っています。
「反対なの?お姉ちゃん、私のやることは何でも、反対するもんね」感情を高ぶらせた桜子は、こっそり達彦と会っていたことをぶちまけました。
「達彦さんと一緒になるってことは、音楽を捨てて山長の女将になるってことなんだよ。あんたにその覚悟はあるのんか?桜子」「ほんなこと、わからんよ」
姉だからこその笛子の心配にも、桜子はもう聞く耳を持たず冷静さを失うばかりでした。その後、いくら待ってもマルセイユに達彦は来なくなりました。
神社に結び文もありません。

落胆しため息をついたら、桜子の背後から咳が聞こえました。冬吾が高熱を出していたのでした。
有森家で寝こんでしまった冬吾の額に、笛子は氷を乱暴に置きました。
心配しているのか怒っているようにも見えるが、とにかくてきぱき面倒を見ていました。
笛子の剣幕にのまれて、冬吾は言いなりになっていました。

仕事を持ちながら、家の事も気を配っている笛子を、冬吾は素朴な言葉で褒めました。
笛子もあながち悪い気はしなかったが、デッサンで描かれた変な絵だけは許せませんでした。
釘をさした笛子が少し部屋を離れた隙に、冬吾は書き置きを残しいなくなりました。
「俺は、変な絵を描くのはやめられない、だから出ていく」と冬吾。桜子にとがめられようとも、笛子なりに親身に世話をしたのでした。
何日ぶりか、達彦の結び文に、桜子は胸をときめかせてマルセイユに向かいました。
「例えば俺が、嫁に来て欲しいって言ったら?」
絶句する桜子に、達彦はすぐに後悔しました。

桜子だって本当はさよならなんかしたくなかったのでした。
桜子の心が激しく葛藤し、涙が止まりませんでした。
達彦が好きなのに、音楽を諦められない自分にまた泣きました。
笛子はピアノを趣味にしたらどうかと勧めてみました。それなら、達彦のことをあきらめずにすむかもしれない。
東京で出会った人は、みな一生懸命で冬吾もその一人であった。
「好きな事に、自分の全てをかけて頑張る素晴らしさを、私はあの人から教わった」それなら、達彦とはもう会わないほうが桜子のためだ」
笛子はあえて厳しい態度をとりました。「桜子。あんたもう、東京に帰ったら」「お姉ちゃんのバカ」笛子はかねとの確執も懸念していたのでした、
実際、かねは達彦がピアノと桜子への未練を断ち切れないことに危機感を募らせていたのでした。
桜子が山長に入る気にでもなったら取り返しがつかないことになります。「かねは達彦の嫁候補に目星をつけはじめました。
桜子が山長の前を通りかかると、華やかな振袖姿の娘と背広姿の達彦が並んでいました。
いてはいけない場所にきたのだが、桜子は金縛りにあったように動けませんでした。
達彦は桜子に気づきました。苦悩をよぎらせて顔を背けました。達彦がどんどん遠い存在になっていきます。
傷ついた桜子を家族がいたわってくれますが、そのことがかえって桜子の居心地を悪くさせてしまうのでした。
2.、3日に岡崎を出ようと決心し、それまでに冬吾を見つけて風邪を治してあげなくてはいけませんでした。
「神社へ行ってみると冬吾のスケッチブックがありました。
開いたページには、空に広がる木々の枝と木漏れ日が生き生きと描かれていました。その絵に笛子は強く惹きつけられました。
もめ合っているところを、巡査が冬吾を不審人物として連行しようとしているところ「私の知り合いです」と笛子はとっさに冬吾をかばっていました。

笛子は何を話していいかわからず困惑し「私、桜子が苦手なんです」不意に出てしまったのでした。
桜子によかれと思っても、ことごとく反発され、対立してしまう苛立ちを、笛子はいつしか一人で喋っていました。
冬吾は軽い相槌を打ちながら聞いてくれる人の心をほぐしていくような不思議な優しさがありました。
冬吾の無事を一番喜んだのは、もちろん桜子でした。達彦のことも、冬吾になら包み隠さず話せます。
「男と女はなんぼジタバタし、そっぽ向いて別れようとしたってくっつくものはくっつく。くっつかねえものはくっつがねえ。んだから心配しても無駄だ」
元気つけてくれているのかどうか、桜子は久しぶりに屈託なく笑いました。
達彦はマルセイユの窓越しから、2人が笑い合うシーンを見ました。桜子を深く傷つけてしまったことに、いたたまれなくなり店を抜け出してきたところでした。
達彦はとにかく仕事に没頭しました。
桜子は見知らぬ人のような態度をとります。2人の気持ちがすれ違っている隙に、かねは次の手段を打ってきました。
磯の店で、お嫁さん候補の服をあつらえようというのでした。
「無神経にもほどがあります」磯はキッパリと断りました。

かねは当てつけのように冬吾のことをわけのわからん男と皮肉りました。
事情を知らない磯はわけのわからん男をチェックしようと有森家へ行き、すっかり冬吾のペースにはまってしまいました。
笛子は甲斐甲斐しく芸術家冬吾の身の周りに気を配り、冬吾も自然にそれを受け入れていました。
その日の夜は、徳治郎も加わり、宴会のような賑わいになりました。手拍子をしたりしても桜子の心には寂しい風が吹いていました。
達彦のことは、桜子が自分でけじめをつけるしかありませんでした。
気がかりは笛子のことでした。
「お姉ちゃん、お父さんが死んでから、自分が親代わりになろうとして、えらい頑張っとるけど、本当は寂しいんです」桜子は姉を冬吾に託したかったのです。
「絵描きっつうのは、一つどこには住まねえもんだ」冬吾を拘束することは誰にもできないのであった。
東京に戻る日、桜子は汽車に乗る前に達彦の姿を見納めておきたかったのでした。
山長の店先に、短期間だけれどすっかり主人らしくなった達彦がいました。
「ごめんな」「ううん。私こそ、ごめん」桜子は音楽を諦められないことを、達彦は桜子の期待に背いてしまったことを謝りました。
わだかまりは解け、これ以上言葉が出なく涙があふれるだけでした。お互い将来の健闘を祈り、2人は別れました。
背中に達彦の視線を感じながら、達彦との思い出がよぎり、涙がこぼれました。ずっと競い合い、肩を並べて歩んできた道を、これから桜子が一人で歩んでいかないといけない、東京への新たな旅立ちでした。
桜子が東京に戻ると、岡崎の有森家に杉冬吾の許嫁だという御崎しま子(光浦靖子)が現れます。しかし、冬吾は彼女から逃げるように岡崎を去っていきます。2人はお似合いだと思っていた桜子は、薫子に冬吾の過去を調べてもらうと、なんと2人は心中未遂を起こしていたのでした。
そんな折り、冬吾が東京のアパートにやって来て、桜子は事の真相を問います。聞くとしま子の一方的な態度が原因だとわかるが、岡崎にいる笛子の理解は得られません。桜子は八重のヒントから、自分が冬吾と交際していると嘘を書いた手紙を出し、逆上した笛子を上京させました。
しま子も丁度アパートにやって来て、冬吾は彼女と決着をつけ、笛子と岡崎に戻っていきました。そして昭和13年の暮れになり、桜子は岡崎へ帰省します。

有森家では、助産師の資格を取り自宅で開業したい杏子と反対する笛子が対立します。笛子は勇太郎(松澤傑)の受験勉強のことが引っ掛かり断固として開業に反対。自営の厳しさを気にかけ、産院に勤めた方がいいと勧めます。
そんな折、桜子は道端で産気づいている妊婦の小鈴(早良めぐみ)に気付き、有森家に連れて帰ります。杏子は急いで出産準備をして、その妊婦は難産になるものの、翌朝無事に赤ちゃんを生みます。
ところが数日後の深夜、赤ちゃんを抱いた小鈴が切羽詰まって有森家の戸を叩きます。暴力をふるう亭主の信吉(いけだしん)からかくまってほしいといいます。しかし小鈴が以前芸者だったと聞き、いかがわしい商売だと思い、小鈴に出て行くように迫ります。
信吉は有森家にやって来て力づくで入ろうとしますが、その時勇太郎が機転を利かせ、警察を呼んだようにしむけて、信吉を追い払いましたが、冬吾と小鈴は逃げるように出て行ったきり、帰ってはきませんでした。
翌朝になっても帰ってこず、桜子はもしやと思い、喫茶マルセイユを訪ねると冬吾がいました。冬吾は小鈴の似顔絵を描いているところでした。やがて冬吾の周りに「絵を描いてほしい」とせがむ小鈴の芸者仲間で囲まれます。そこに間が悪く笛子が硝子越しにその光景を見て、芸者にまでもてはやされている冬吾の姿に唖然とします。
「どうして!?どうしていつもそうなの!?』冬吾と知り合ってから気が休まらず、笛子は冬吾に怒りをぶつけます。冬吾は「そったなこと喋ったって・・・」と返すが、「もう私を怒らせんで、こんなにつらい思いさせんで・・・」そうつぶやく笛子に冬吾は「覚悟しろ」と言い、そして強引に口づけをします。
「そったに腹が立つか、困ったなあ、どうしたらいいんだべな・・・」笛子は抱き寄せる冬吾を引き離そうとしますが、次第に心を許していきます。
そ冬吾は「一緒になるか」と告げ、笛子を強く抱きしめます。「好きなだけ怒れ、俺のまえで怒れ、これから先はずっと一緒にいてやるから」笛子は冬吾の胸で涙します。
その夜、桜子と杏子は長女として今まで家族を支えてくれた笛子に、冬吾と結婚をして自分の幸せを築いてほしいという思いを託します。杏子は「今度は自分が姉を支える番」と、再び自宅で開業したいと申し出て、産婆として自宅で開業できることになりました。
そして翌年の正月、笛子と冬吾は家族の前で結婚をすることを発表します。

達彦は亡き父・拓司(村田雄浩)がいなくて、かね(戸田恵子)と寂しく2人で正月を過ごしていました。
有森家には味噌職人のキヨシ(井坂俊哉)が新年の挨拶に訪れました。キヨシは桜子に東京音楽学校の合格祈願のお守りを渡すと、桜子との交際のことをまだあきらめていないという強い意志を伝えて帰っていきました。
正月もピアノの練習をする桜子でしたが、達彦のことが思い出され、達彦もまた桜子への断ち難い想いに揺れていました。
達彦は有森家を訪ねることにしました。桜子に合格祈願のお守りを渡すためでした。しかしキヨシがすでに桜子に渡していたことを知ると、達彦は持ってきたお守りを渡すことをためらいました。
「キヨシはいい奴だ。あいつとだったら、俺は文句はないよ」「達彦さんにそんなこと言われたくなかった・・・」桜子は達彦の言葉がつらくてたまりませんでした。
桜子から今日は帰ってほしいと言われ、有森家を後にした達彦が神社に立ち寄ると、冬吾がいました。冬吾は初詣が苦手だというのです。冬吾が結婚するという話を聞いた達彦は驚きを隠せません。
冬吾もまた「信じられねえべ」と笑ってみせました。
「桜子ちゃんのこと、今でも好きか?」並んで腰掛けた達彦に冬吾が訊ねます。達彦は答えました。「好きです。でも、どうしようもありません。一緒になれんのですから」「でも、黙って想っていることは出来るべさ。好きならただ、想ってればいい。見返りなんかなくても、想ってるだけでな」「好きならただ、想ってればいい」冬吾の言葉を聞いた達彦は、渡せなかったお守りを手に、結び文の約束を交わした木を見つめました。

その頃、桜子は、達彦と別れてまでして音楽の道を選んだことが果たして正しかったのか、と心が揺れていました。杏子は塞ぎこむ桜子に何と声をかけていいのかわかりませんでした。
そのに冬吾が帰ってきました。
冬吾に神社に行くように促された桜子は、結び文の木の枝に何かがぶら下がっているのを見つめます。それは達彦からの贈り物・・・、「頑張れ」というメッセージと合格祈願のお守りでした。
「達彦さん、、、何言っとるの。言われんでも頑張るに決まっとるじゃん」桜子は心の中に達彦を確かに感じ、嬉し涙がこみあげてきます。
そして不安も消えていき、音楽への新たな決意がみなぎっていたのでした。
ついに桜子は東京音楽学校に合格します。入学準備のために岡崎に帰郷します。有森家では勇太郎も難関の八高に合格したこともあり、宴会のように盛り上がっていました。笛子も冬吾との結婚の許しを受け、結婚準備を始めていました。。
そんな時、有森家に桜子の女学校時代の恩師である西野(キムラ緑子)が訪れます。西野は桜子にねぎらいの言葉をかけると、一転して深刻な表情になり、同僚の笛子に伺いたい話があるというのです。
「6年前、杉冬吾さんが左翼運動で逮捕された経歴があるのはご存知かしら」桜子と笛子は冬吾に前科があると信じられませんでした。
西野によると前科がある冬吾と結婚する笛子に「学校を辞めてもらいたい」という意見があがっているというのでした。
事情を訊ねると、冬吾は6年前、裕福な者だけが優遇され、貧乏人が報われない社会を嘆く活動家の友人に賛同し、酒を飲んで酔っぱらった際に駐在所に石を投げて逮捕された過去を明かします。桜子は冬吾の前科がなぜ明るみになったのか不思議に思いますが、笛子は自分も身辺が調査されていることに心当たりがありました。
先日文部省の役人が格好に査察に訪れた際、笛子は授業で扱っている「源氏物語」について“天皇に関する記述が不敬”だと注意を受けましたが、それでも源氏物語を“欠くことが出来ない素晴らしい教材”だと訴えかけたところ、役人から目をつけられてしまったというのでした。
冬吾の前科が明るみになった翌日、有森家に女学校の校長(野村信次)が訪れてきました。校長は冬吾が社会に反する思想に精通しているかを探りに入れに来たのでした。面談は和やかに進みますが、冬吾が「源氏物語」の一件について、「教師の中で誰も笛子に賛同する者はいなかったのか」という感想をつぶやくと、校長は苦々しい表情をして足早に帰っていきました。
世は政府の方針を否定すれば、反逆者などと言われ罰せられる時代でした。政府から出征を命じられた者は身内でも万歳三唱で見送らないといけない時代でした。
その時、世間を悲観する杏子を塀越しにのぞいている男達の姿がありました。それは小鈴(早良めぐみ)が暴力に耐えかねて別れた夫・信吉(いけだしん)と、信吉が捜査を依頼した刑事(大関正義)でした。
信吉は小鈴に別れるように促したと思い込んで杏子を逆恨みし、折あらば一矢報いようと企んでいたのでした。
笛子は校長に「もし結婚したら、教師を続けられると思うな」と反体制派の者だと決めつけられ、結婚を辞めるように迫られました。
冬吾は自分のせいで笛子が辞職を迫られていることを知り、笛子から離れようと決意し、誰にも知られないように真夜中に有森家を去ろうとします。桜子は冬吾を引き止め、笛子にとって冬吾の存在が何よりも大切だと訴えます。冬吾は、有森家に留まるように思い直します。
翌日、味噌職人のキヨシ(井坂俊哉)が桜子の合格祝いを持って有森家を訪ねました。キヨシは合格を喜んでいたという達彦の気持ちを代弁し、その言葉に桜子は嬉しくなります。
その時、突然大勢の男達が上がりこんできます。男達は杏子の周りを取り囲みます。「治安維持法違反の容疑で逮捕する!」一人の男が杏子に言い放ちました。
杏子は左翼の集会を開いたとして無実の罪を着せられ、警察に逮捕されてしまいます。
ひそかに杏子に一泡咲かせてやろうと企んでいた信吉の仕様でした。
桜子は警察署に行くが、杏子と面会をさせてもらえません。警察署にはちょうど達彦も事件に巻き込まれたキヨシの身柄を引き取りに訪れており、桜子と達彦は思いがけずに対面します。
杏子が釈放されないまま数日が経ち、身内に逮捕者が出たことは近所や学校にも知れ渡り、笛子は学校にいずらくなります。
桜子は達彦に地元の名士として警察に口添えしてもらい、杏子と面会する機会を得ます。
しかし、面会所に現れた杏子はすっかりやつれきっていて、ひどい尋問を受けたのか、頬いは傷がありました。そんな状況にありながら、我が身よりも家族を心配する杏子の言葉を聞いた桜子は、自分がどうにもできないと悲しみに打ちひしがれます。
笛子には教職よりも結婚を選んでほしいし、杏子は釈放されても良からぬ噂などで当分は満足に仕事ができないでしょうし、桜子はこの数日間で募っていた思いを家族に打ち明けることにしました。
音楽の道を諦めて家族のために働くという一大決心でした。
ところが、やっとの思いで東京音楽学校に合格したこともあり、家族の中で誰も桜子の意志に賛同する者はいませんでした。
その日の夜中、冬吾は有森家を出て行ってしまっていたのでした。
翌日、杏子が釈放されたという知らせが届き、桜子は警察署に駆けつけます。
杏子の釈放には代議士である冬吾の兄が関わっていました。冬吾は上京し、無実の罪で逮捕された杏子を釈放するように、疎遠になっている兄に頭を下げてくれたのでした。
冬吾のおかげでようやく有森家に杏子が帰り、家族に久しぶりに笑顔がこぼれました。しかし、冬吾は「前科のある自分とは結婚しないほうがいい」と告げ、笛子の前から去ってしまいます。
笛子は冬吾を引き止めませんでした。冬吾との結婚よりも、家族の生活の為、教職を選んだのでした。その夜、桜子は家族のために尽くし続けた笛子を思い、ある決心を固めます。
東京に赴いた桜子は、西園寺(長谷川初範)の屋敷に向かいました。西園寺に東京音楽学校入学を辞退することを告げます。
「姉を幸せにしてあげたい。今度は私が姉を幸せにしてあげる番だ、そう思ったんです」と言いました。
まもなく岡崎に帰郷した桜子は女学校へ向かい、笛子に入学を辞退したことを伝えます。
「笛姉ちゃんは学校をやめて冬吾さんと一緒になって、お姉ちゃんの今一番大切な人は誰?一番会いたい人は誰?一番大切なものをとってよ・・・!」
桜子はその思いのたけを笛子にぶつけます。 桜子が廊下で見守る中、笛子の授業が始まりました。教室では視学官(大林丈史)が監視しており、政府に否定的な発言をすれば、すぐさま厳しい注意を受けます。たとえ素直な感情表現であっても、それが政府の方針を暗に批判するような発言であれば、非国民だどと戒められ、感情を曲げるように要求されます。
西笛子は授業中「方丈記」の一節を借り、世の中の流れに負けて自分の本心を偽ることがないように、という思いを生徒達に託します。そして「これが私の最後の授業です」と最後に告げます。教え子達に動揺が広がるが、笛子の言葉に真剣に耳を傾けます。
「どんな世の中になっても、どうか、自分の心だけは裏切らないで下さい・・・」桜子は教え子達とともに、笛子の最後の授業を胸に刻みます。
西それから笛子は教師をやめることを決心し、一週間後に身内だけで笛子と冬吾の結婚式を挙げました。
一方、桜子は亡き父・源一郎(三浦友和)が遺してくれたピアノを売る事を決意します。
勇太郎の学費の足しにと思って、源一郎もわかってくれるはずだろうと思いました。
ピアノは手放すことにはなりますが、源一郎が遺してくれた「家族で助けあって生きるように」という思いは残り続けます。
その夜、ピアノ業者が引き取りに来ますが、桜子の心に寂しさがこみあげてきます。桜子が玄関口でたたずんでいると、達彦が桜子を心配して訪れました。
後悔だけはしないと心に決めた桜子でしたが、やはりつらさは隠せませんでした。桜子はつらい心情を達彦にぶつけ、達彦もまた桜子の心を解きほぐしていきます。
「俺だって同じように辛い思いをしてあきらめたんだ。だからこそ、お前にはあきらめてほしくないんだ。東京に行かないなら行かなくていい。・・・ほいでも、音楽はあきらめるなよ。ピアノを敷き続けてほしいんだ。いつどこで、どんな道が開けるかわからんよ。だってお前、ピアノが好きなんだろ・・・」
桜子のピアノが好きだという気持ちが自然と口から出て、達彦に肩を抱かれ、その胸で泣き続けました。
桜子が東京音楽学校の入学を辞退し、岡崎で働き始めます。
達彦は、桜子が再び音楽を続けられるように生活を支えたいと思うようになります。桜子は昼間は「マルセイユ」で女給として働き、夜は洋裁の下請け内職をし、勇太郎の学費や家族の生活費を稼ぐために忙しく過ごしていました。そしてマルセイユにたびたび訪れる達彦と会えることを楽しみにしていました。
達彦はかねから縁談の話をされているが、断り続けていました。ある日縁談を断るのはなぜかとかねに聞かれ、達彦は宣言しました。「俺、有森桜子と結婚する」と突然の結婚宣言でした。
達彦は桜子がピアノを続けられるためには、財閥の当主である自分が結婚し、経済的に重荷になっている状況を解き放つことが最善策だと思ったのでした。

かねは猛反対しますが、桜子本人の気持ちを確かめる事が大切だと思った達彦は、マルセイユを訪ねました。
一方、かねはキヨシとともに有森家を訪ねていました。達彦と桜子の関係を好ましく思わなかったかねは、キヨシが桜子に思いを寄せていることを知り、キヨシと桜子を縁談で引き合わせようとしていたのでした。
達彦はマルセイユを訪ねたが、結局、桜子に想いを言い出すことができませんでした。
桜子は有森家へ帰ってくると、かねが縁談話の真っ最中でした。しかし、桜子は縁談を受ける気は全くありません。
桜子の本心を聞き、キヨシは清く身を引いて帰ろうとします。
かねは、桜子と達彦は家柄が違う、身分が違うとキッパリと言い放します。そして無職の冬吾と笛子や前科者の杏子など露骨に有森家の姉妹を非難します。
世話になっった山長の女将といえども、徳治郎は黙ってはいられません。徳治郎はかねを追い返し、むかつきを抑えながら帰っていきます。磯も同じく腹の虫がおさまりませんでした。
しかし、笛子のむかつきは少し種類が違うようで、それはつわりでした。
有森家は一転して祝福ムードに包まれます。
その後の翌日、桜子は達彦に呼び出され、神社へ向かいました。
「俺、お前のことが好きなんだ。だから、一緒になってほしい」と思いがけないプロポーズ。
「でも・・・」桜子は一瞬戸惑います。
「お袋は反対すると思う、だけど、お前のことは俺が守る。俺のそばで音楽の勉強を続けてほしい。お袋のことは何とか説得するから、考えておいてほしい」
達彦にそう言われ、桜子は返事を保留する形となりました。

「そして、プロポーズの後、軍部の男、兵事係(池浪玄八)が達彦を訪ねてきました。「おめでとうございます」と一通の手紙を渡して言いました。「召集令状です!」
達彦の瞳が戸惑うように揺れました。
その直後、キヨシがマルセイユに駆けつけ、桜子に大将のもとに赤紙が来たことを告げます。
桜子は達彦のもとに向かいました。
「達彦さんに赤紙が来たって聞いて、私、自分には何よりも今、達彦さんが大切なんだってわかった。時間を無駄にしたくない。達彦さん、私をお嫁さんにしてください」
と伝えます。

しかし、桜子の言葉もむなしく、達彦は結婚できないと言います。召集令状が届き、事情が変わり、山長の勝手を知る又従兄弟の娘と結婚することになったと告げます。
桜子はショックを受けます。しかしそれを受け入れ、達彦の無事を祈って千人針を集めることが自分にできる唯一のことだと思い、街角に立ちました。
一方、かねは息子に突然召集令状が届きたことに戸惑っていました。何か達彦にできることがないか、そう思っていたところ、達彦が桜子のことを強く想い残っていることに気づきます。
翌日、仕事を熱心にする達彦のところにキヨシがやって来ます。キヨシは達彦が桜子を捨て、又従兄弟の娘と結婚するということに腹を立て、達彦に真偽を問い正しに来たのでした。
達成は冷淡にその通りだと答え、キヨシはとうとう腹にすえかねて達彦に殴りかかります。するとその時、達彦はキヨシを払いよけるようにして言いました。
「俺は結婚なんてしんよ!そういうことにしとかんと、有森が納得しいへんと思ったからそう言っただけだ。今、結婚なんかしたらどうなる?俺が行ったあと、あいつはこの店に縛られることになるだらが。あいつの音楽への夢を摘むようなことはしたくない。。。 それに、戦争に行くっちゅうことは、まかり間違えば死ぬかもしれんのだ。お前だって、もし俺と同じ立場なら好きな娘を未亡人にさせたくないだろ」
達彦の本心でした。かねはそこで達彦の秘められた思いを知ります。
物思いに耽りながら神社の前を通りかかったかねは、桜子が達彦のために千人針を行く人々に求めていた光景を目にします。
かねはその光景を目にしながら自分の中に芽生えた気持ちに確信を覚え始めていました。
かねが帰宅すると、達彦がピアノに没入していました。
「こんなことになるなんて、あんたの好きなこと、もっとやらせてやれば良かった・・・」
「やらせてくれたよ。東京に行かせてくれたじゃないか。夢のようだったよ」
泣き濡れるかねに達彦ははっきりとした口調でそう答えました。
外はさっきまでの晴天が嘘のように激しい雨が降っています。桜子はそこに立っており、かねは桜子のまえに歩み寄り「桜子さん、お願いがあるんだけど・・・ 達彦と一緒になっておくれるか・・・・」そして・・・・。
突然、桜子と有森家へ訪れたかねに有森家の人達は驚きます。しかし、徳治郎は腹の虫がおさまりません。かねは先日の無礼を謝ります。
達彦にしてやれることは好きな人と一緒にさせること。そうすれば何としてでも妻のために戦争から生きて還ってくるはず。そう思ったかねは、誠心誠意をもって桜子と達彦の結婚を承諾してほしいと頭を下げます。その思いを黙って聞いていた桜子は答えました。
「私は達彦さんと一緒になりたいです」
「ありがとう・・・」

やがて雨はやみ、桜子は千人針を縫い上げ、かねに届けることにしました。
達彦は互いの気持ちが揺らいでしまうことを恐れて桜子とは会わないといいます。
桜子はその思いを理解し、達彦の無事を願って家に着きます。

それから達彦と会えないまま数日が経ったある日、有森家に思いがけない贈り物が届きます。
それはなんと、売ったはずのピアノでした。
亡き父が遺してくれたピアノで、贈り主は達彦でした。

「音楽にかける夢だけは捨てないでください。いつどこにいても、たとえ遠い戦地にいても、君がどこかでピアノを敷いている。そう思えることが僕の支えです」
達彦からの手紙を読んだ桜子は感涙します。
そして、入営を2日後に控えたある日、達彦が有森家を訪れます。
有森家の一同は達彦の無事を願い、ささやかなピアノ演奏会に達彦を招待したのでした。
桜子は純白の衣裳を着て、達彦を迎えます。

演奏会が始まり、達彦も桜子に並び連弾をはじめます。そこへかねも訪れ、正装している有森家の面々に目を丸くしますが、達彦は思い立ったように言います。

「みんなに囲まれて、有森が隣にいて、何とも言えん気持ちになった。この人達と、家族になりたくなった。・・俺が帰るまで、待っとってくれないか。帰ってきたら、一緒になってくれ」
桜子も頷き、2人は将来を誓い合いました。

その夜、桜子と達彦は川べりで2人きりの時を過ごしていました。最後の線香花火が消え、沈黙が訪れます。桜子がブラウスのボタンに手をかけ、一つ一つ外し始めます。
「私には今しかないの。今の私の全部を達彦さんにあげたい。私をもらってください」そうつぶやく桜子に達彦は口づけで返します。
「俺は生きて帰る。約束する・・・」
2人はそのまま静かに抱き合いました。
そして入営する当日、街頭では大勢の民衆の前で、出発の挨拶をする達彦の姿がありました。2人はほんの少しの間、視線が触れ合ったのを最後に、言葉を交わすこともなく別れました。
「なんだか立派すぎて達彦さんじゃないようだった、兵隊にとられるっちゅうのはああいうことなんだね、立派な服を着て、立派なこと言って・・・」
ふと、桜子の心に達彦と過ごした日々が思い出されます。
入営してから数日後、有森家にかねが訪れました。かねに手を引かれた桜子は、誘われるまま山長の大広間に通されます。すると、味噌職人たちがぞろりと座っているのでした。
そしてかねは「うちの若女将です」と桜子を紹介します。

突然の出来事だったので桜子は慌てますが、かねのペースになります。桜子のために、女将の修業にタミ(阿知波悟美)という教育係を呼び寄せていました。味噌料理ではタミの右に出る者はいないといわれ、桜子は気持ちの整理をする間もなく、タミの指導で厨房に入ることになりました。
厨房で一通りの仕事を終えると、今度は味噌蔵の紹介でした。

桜子にとっては味噌桶に転落したこともある思い出の味噌蔵でした。
職人頭の仙吉(塩見三省)によれば、旨味を大切にする他の味噌屋より、熟成に時間をかけているのだといいます。ただし八丁味噌は贅沢品だと政府からいわれており、政府の方針次第で今後の経営が暗黙に乗り上げる恐れもあるらしいのでした。
一方、かねの横暴な態度に気づいた磯は、山長に駆けつけます。すると、桜子がちょうど掃除にこき使われているところでした。磯は桜子を連れて帰ろうとするが、かねはただ根性を試しただけだと言うのです。
そして「この程度で逃げ出すとは意気地なし」などとかねが吐き捨てた言葉が桜子の癇にさわりました。
「わたしの見込み違いだったわ。あ~あ、達彦もつまらん娘に惚れたもんだ」
すると、桜子がついにかねの挑発に乗ってしまいます。
「わかりました。受けてたちます。やってやろうじゃん、味噌屋の修行!・・・」
桜子の若女将の修行がはじまりました。
その時代、政府は八丁味噌の統制価格を大幅に引き下げようとしている最中で、価格が下がれば山長は経営が傾いてしまうという深刻な問題に差し迫っていました。山長では、議員を接待して価格の引き下げを食い止めていました。
女将修行の初日、八丁味噌の味噌組合の会合がおこなわれ、桜子は応接間の掛け軸を季節に不釣り合いなものに掛け替えてしまい、大目玉を食いますが、会合は無事に終わり、一安心します。
そんな時、かねのもとに達彦から手紙が届きます。
「まさかとは思いますが、女将修行などという名目で店の手伝いをさせるようなことはしていないでしょうね。するとキヨシが現れ、桜子の代わりに手際よく薪を割っていきます。
桜子は制止しようとしたが、キヨシは桜子の味方だと言い、次々と薪を割っていき、あっという間に片付いてしまいました。

そして夕暮れになり、屋敷に戻ってきた桜子は、かねが厳しい剣幕でタミを達彦の部屋から追い出している場面を偶然見かけてしまいます。
「あんたに達彦のもん触る資格なんかないよ!18年前にあった事、私は忘れたわけではないからね」
桜子は、かねとタミの間に何があったのか、まだ知りません。
桜子はかねから呼び出され、昨日の薪割りを誰にやってもらったか問われ、キヨシは正直に名乗り出ます。しかしこの様子を見ていた店員のおふみ(藻田るりこ)はキヨシに思いを寄せているのでおもしろくありません。
キヨシが何かと肩をもつ桜子に嫉妬心を感じ始めていたのでした。
そして、昼下がり桜子のもとに徳治郎が手紙を渡しに来ます。達彦からの手紙でありました。桜子はかねを気遣う手紙の文面から達彦の母に対する愛情を感じます。桜子は一つだけ気がかりなことがあり、タミと達彦との関係性でした。そんな時、桜子は達彦の部屋で、幼い頃の達彦とタミが一緒に写っている写真を見つけます。
一方、おふみは桜子に嫉妬を募らせていました。おふみは桜子が帳簿から目を離したすきに、帳簿のまえに座り「三河屋1樽」という注文書きを目にし、筆をとり0をひとつ増やして10にしてしまいます。
夕方になり、山長は受注ミスで騒がれることになります。三河屋から1樽と注文されたところ。10樽を届けてしまいました。桜子は自分が付けた帳簿のミスとされ、かねから叱責されますが、それもそのはず、全く心当たりがありません。注文書に10樽と書かれているが、不自然に数字が書き加えられたように感じられました。
その時、おふみが帳簿を手伝おうとしていたことが頭をよぎります。
「・・・ここ、書いたのはおふみさんです」

一斉におふみに疑惑の目がむけられます。ところが、おふみは身に覚えのないことだと味噌職人達の前で泣きじゃくります。
桜子の誤解は解けず、桜子は微妙な立場に立たされることになりました。
店の者に責任をなすりつけたとあって、山長の者たちの態度はあからさまに冷たくなりました。たとえ真相がわかっていても、若女将が店の者に責任をなすりつけることなどあってはならない・・・ 桜子はかねから女将修行の終了を言い渡され、早々と山長を去ることになりました。
それでも最後に何か役に立ちたい、その一心で桜子は味噌蔵のキヨシのもとに行き、仕込みを手伝わせてほしいと志願します。
「しょげることはないです。女将さんは難しい人ですので」
桜子は職人頭の仙吉に励まされようやく笑顔を取り戻しますが、その後意外な人が、桜子に店を手伝う機会を与えてくれたのでした。それは桜子の奮闘ぶりを見て心を打たれたというタミでした。タミは数日後に控える議員の接待を桜子に手伝わせるといいます。そうしてタミから朝から晩まで指導を受けることになりました。
そして接待当日の明け方、タミはぎっくり腰になってしまいます。
タミの腕を買って山長に呼び寄せたかねは困惑します。
かねは仕出し料理で切り抜けようとするが、桜子は仙吉と「味噌料理を出さなければ味噌屋の接待の意味がなくなってしまう」と訴えます。桜子はタミの特訓通りに料理をつくれば理想に近い味が出せると言い、かねたちはその意気込みにおされ、桜子の自信に賭けてみることにしました。桜子はお清(福田らん)とお由美(柳下季里)に協力してもらい、厨房で味噌料理をつくることになりました。
そして夕方、山口議員(真実一路)と秘書(窪園純一)が訪れ、接待がはじまりました。だが、桜子の料理はやはりにわか仕込みでしかないのか、議員たちは特に感想も述べず、黙々と料理に箸を伸ばします。
そんな桜子にも切り札と呼べる一品がありました。それは「鹿の子寄せ」という味噌だれを使ったお菓子で、達彦も大好物だったという一品でありました。だが、鹿の子寄せは形にはなったものの、どうしても納得のいく味にはなりません。
「タミさんと同じ味につくれるように一生懸命がんばったけど、無理でした。やっぱりタミさんの代わりはできん」
桜子があきらめかけたその時でした。布団で横になっていたタミが肩を貸してくれといいます。
そして、、、タミは痛む腰にかまわず鹿の子寄せをつくり、山口議員はそれを絶賛します。さらに、山口議員はそれまでの料理も褒め讃え、上機嫌で帰っていきます。

そして、その夜山長では「喜んで下さい。お二人とも満足してお帰りになりました!」
かねが接待の成功と桜子の手柄を報告し、山長は拍手喝采に包まれます。
山口議員は八丁味噌の素晴らしさを知り、統制価格を原価割れさせないように大臣に進言してくれるというのでした。
接待が無事に成功したその夜、タミは翌日山長を去ると言い出します。かねは引き止めようとはしませんでした。
タミが18年前に山長で働いていた頃、達彦と親しかったことに気づいた桜子は、タミを入営中の達彦と面会させてあげてほしいとかねに懇願します。しかしうんとはいわず、かねはこういいます「あの人は18年前、達彦を拐したんだよ。私に暇を出された腹いせに達彦を連れ出して、自分の田舎に引っ張っていったんだよ」と。。。
「タミさん、本当なの?あの話・・・」
部屋に戻り桜子がタミに訊ねると、タミはその通りだと認めます。
しかし、仙吉は若女将の桜子には真実を教えようと言い、すぐにそれが真実ではないことがわかります。真相は達彦がタミを恋しがって自分からタミについていったのだといいます。
しかし、タミは達彦が自分を母親のように慕うことで、かねが傷ついてしまうのではないかと思って、自分が連れ去ったことにしてほしいと仙吉に口止めしたのでした。その時かねは18年前の真相を初めて知ったのでした。

翌朝、山長を去っていくタミを桜子が見送ろうとすると、かねが現れ、タミを引き止めると、達彦に会ってほしいといいます。
「悪かったわ、あんたには本当に悪い事をした・・・」
かねはタミに辛くあたったことを詫び、2人は涙を流し手をとりあいます。
かねは桜子とタミを連れ達彦がいる豊橋の兵舎を訪ねました。
桜子にとっても久しぶりに達彦に会います。この日に備えて前日の夜、桜子はタミに手伝ってもらい、達彦の好きな鹿の子寄せを作っていたのでした。
「おタミがよく作ってくれたんだ。この味は忘れられん」と達彦は思い出の味に感激しました。
それまで背を向けていたタミでしたが、ついに感極まって鳴咽を漏らしました。
「おタミな・・・!」達彦が初めてタミの姿に気づきます。18年ぶりの再会を果たし、2人は寄り添い合っていました。
桜子は達彦に近況を話し、帰りました。
達彦の願いは桜子に山長を手伝ってもらうことではなく、音楽を続けてもらいたいことでした。桜子は達彦がくれた作曲のテキストを参考にし、作曲の勉強を始めます。そして、豊橋にいる達彦に自作の楽譜を送り、達彦と文通をしました。
それからしばらくして、マロニエ荘の主人・八重(原千晶)が守田(若林久弥)という芸術家とともに有森家を訪ね、守田は冬吾(西島秀俊)に東京で新しい芸術の波を起こそうと提案します。
しかし、冬吾は妊娠中の笛子(寺島しのぶ)を気遣い、その誘いを断ります。

当時、芸術の発信は東京からでした。芸術家達が東京で腕を磨きに行く時代に、冬吾を岡崎に居させていてもいいものか、冬吾は本当は東京に行きたいと思っているのではないか、と笛子は気にかけていました。
そんな矢先、桜子宛に思ってもいない手紙が届くのでした。それは東京音楽学校の西園寺からの手紙で、達彦の推薦で桜子作曲の楽譜が送られてきたとの事でした。
「・・・もう一度、東京で音楽の勉強をやり直すことは考えられないのでしょうか。達彦君は君の才能が埋もれるのを心から心配しています。・・・その思いは僕も同じです」
その手紙は、桜子の心に強く響いたのでした。

冬吾のもとには「東京にきて新美術協会のリーダーになってほしい」と八洲治が依頼に訪れます。冬吾は妊娠中の笛子を気遣い一時は断りましたが、笛子の一言によって新美術協会のリーダーになることに決め、笛子と東京に住むことにしました。
同時期に杏子も東京で介護の職を勉強するために東京へ移り住む事になり、有森家の姉妹は離れて暮らし始めます。

そんな中、山長は八丁味噌の製造中止を余儀なくされます。八丁味噌の統制価格が原価割れする値に決定したためでした。
しかし、ここで山長を終わらせるわけにはいかず、桜子は八丁味噌の腐りにくい特性をアピールすることにより、海軍省に八丁味噌を購入してもられるのではないかとアイデアを思いつくのです。

そんな矢先、入営していた達彦が出征するという知らせが届きます。見送りの日、桜子は海軍省との交渉のために、一旦東京へ出向き、すぐに岡崎に戻ってくる予定でしたが、帰りに遅れてしまいます。桜子に会えず、達彦は出発の時を迎えました。
およそ3年の月日が経った1943年(昭和18年)3月。笛子が2人目の出産を控えていると知り、桜子は手伝いをするために東京のマロニエ荘へ向かいます。笛子は無事に男児を出産し、「亭」と命名します。
同じくマロニエ荘に駆けつけた叔母の磯は愛人との間に生まれた和之(荒川優)と思わぬ形で再会します。和之は画家で、冬吾がリーダーを務める「新美術協会」に所属しているというのでした。
しかし、父である周助(中山仁)は息子の画家としての生き方を認めようとせず、和之に画家をやめて実家に戻るように迫ります。磯は和之とは二度と会わない事を条件に、和之に表現の場を与えてやってほしいと周助に懇願します。
そ笛子の第2子「亭」が網膜炎という病気によって失明する危険があることが発覚します。眼科の精密検査を受けるために多額の金が必要だというのでした。

一方、桜子は、サックスをやめて自暴自爆になりかけている秋山(半海一晃)と再会し、マロニエ荘でしばらく静養してもらうことを決めます。心身ともに秋山は回復し、桜子が亭のために作曲した曲を知人に売り、検査費用を工面し、精密検査を受けられるようになりました。
桜子は、ラジオ番組の音楽を編曲する秋山の手伝いをすることになり、その準備を始めます。そんな納屋会、地区の監視役である鈴村(苅谷俊介)からピアノの命とも言える「ピアノ線」を差し出すよう命じられます。
一方、看護師の杏子は鈴村の息子・浩樹(高橋和也)の看護を担当することになります。
戦地での壮絶な体験と妻子に見放されたショックで心をふさいでいた浩樹でしたが、ラジオから流れる桜子が編曲し唱歌に心癒されます。浩樹はリハビリに励むことを決意し、杏子と接しているうちにお互いだんだんと惹かれていきます。

鈴村は浩樹が立ち直ったきっかけが桜子のピアノ演奏だと知り、ピアノの一件を桜子に謝罪します。
桜子は岡崎に帰郷しようとした矢先、山長の危機の電報が桜子に届きます。
山長を仕切り始めたかね(戸田恵子)の妹・タネ(秋山菜津子)が闇の商売に手を出し、桜子はそれをやめさせようとします。
そんな中、桜子は達彦が戦死したかもしれないという話を耳にします。達彦は生存していると信じる桜子でしたが、達彦が死を覚悟して書いたという遺書を読み、桜子は悲しみに暮れます。
それでも桜子は達彦の帰還を祈りながら、かねに心労を与えまいとして何事もなかったように接します。ところが、かねが達成の遺書を偶然見てしまい、かねはショックのあまり倒れてしまいます。
医師の診察の結果、かねの重病がわかり、桜子はかねに看病をさせてほしいと頼みます。しかし、かねは自分の余命が残り少ないことを察すると、将来桜子を山長に縛りつけたくないという思いから桜子と縁を切るかのように冷たく接しはじめます。
かねの容態が悪くなり、かねは桜子に山長の後継者を任せるという遺言を従業員に託します。だが、かねは桜子に自分が望むなら山長を離れて自由に生きてほしいという思いを残し、息を引き取ります。
かねの死後、桜子は山長の女将になるが、そこにタネが割り込み、2人は女将の座を巡って対立します。やがて騒動を嫌う政府から配給中止の警告を受け、後継者争いで店に迷惑がかかることを恐れた桜子は女将になることを辞退します。
そんな折、有森家に冬吾が訪れ、冬吾は桜子に音楽活動を再開するように訴えると再び東京に戻っていきます。しかし、その矢先、東京が激しい空襲を受けたという一報が入り、桜子は冬吾を追いかけ東京へ行き、崩れた廃屋に体を挟まれ、死を覚悟する冬吾の姿を発見します。
桜子は挟まった冬吾を救い出しますが、冬吾は生死の境をさまよう深刻な事態に陥ります。
か看護に身を捧げるという杏子を東京に残し、岡崎に戻ってきた笛子達は生計を立てるためにそれぞれ臨時の職を探し、桜子も子供達に音楽を教える仕事をしたいと思い始めます。
そんな中、冬吾は空襲の時に受けたショックで絵が描けなくなってしまうのです。そしてまた、桜子の冬吾を思う気持ちに微妙な変化が訪れます。
桜子は疎開した子供達を元気づける絵を冬吾に依頼し、冬吾は再び絵を描き始めます。そして、桜子は冬吾を慕うようになった自分の気持ちを抑えるように、冬吾と距離を置くようになります。
一方、杏子は浩樹と再婚することを決心し、笛子は反対しますが、杏子が幸せになることを願い、2人の結婚を認めます。
戦争が激しくなり、岡崎も空襲の被害に遭います。
桜子たちはすぐさま避難するが、足の骨折が完治していない冬吾が逃げ遅れてしまいます。桜子は引き返し、冬吾を無事に助け出すが、笛子は2人の間にこれまでとは違う関係性が芽生えていることを垣間見ます。
終戦し、翌年1946年2月。穏やかな生活を取り戻した有森家に馴染みのなる顔が続々と訪れ、桜子達は無事を喜び合います。そんな中、桜子はピアニストにならないかと誘われます。
プロのピアニストになることは幼少の頃からの夢です。しかし桜子は学校の代用教員として子供たちに音楽を教える道を選びます。
そんあある日、かねの一周忌法要が終わったばかりの山長に、戦死したと思われていた達彦が姿を現します。しかし、達彦は戦争のショックによって、以前とは別人のようになっていました。桜子は達彦が戦地で見捨てざるをえなくなった亡き親友の遺品を遺族に渡すのをためらっていることを知り、達彦とともに戦友の姉・百合子(木村多江)のもとを訪ねます。
代用教員を勤めていた桜子が学校を去ることになり、そんな桜子に再びピアニストとして東京に行く話が持ち上がります。
一方、達彦は戦死した兵隊の遺族を訪ね歩くことで、戦争のショックから癒されていきます。
達彦は桜子のこれからの将来を思って東京へ行くように助言します。しかし、桜子は達彦と一緒に生きていきたい思いから、東京へ行く事を断ることに決めます。
桜子は戦時中にあったことを達彦に伝えることが大切だと考えます。以前一時的とはいえ、それが恋愛感情かわからないが、冬吾が心の支えになっていたことでした。
ところが、思いがけないことに2人の微妙な関係に気付いていた笛子の口から、そのことが達彦に知られてしまします。
しかし、達彦はすべてを受け入れ、桜子と結婚することを決意します。
桜子は達彦と結婚式を挙げ、幸せになることを誓います。そして、祖父の徳治郎はそれは見届けたかのように、その夜、安らかなな死を迎えます。
それから1年3ヶ月が経ったある日、達彦は恩師の西園寺に桜子の曲を多くの人に聴かせたいと相談し、西園寺の厚意で桜子のピアノ演奏会の開催が決定します。
そんな中、笛子の長男・亭(澁谷武尊)が一時、行方知れずになります。網膜炎によっていずれ失明すると診断されたが、類まれなる音楽の才能を発揮し、桜子達を驚かせます。
ピアノ演奏会を数日後に控え、桜子が達彦の子供を妊娠していることが判明します。歓喜に包まれる中、達彦は母体を気遣って演奏会を中止すべきだという考えを示します。
そんな折、桜子の初恋の相手・斉藤(劇団ひとり)が山長に訪問、桜子のそばに音楽があることを望む斉藤の言葉を聞いた達成は、結局演奏会は予定通り、開催することになりました。ところが当日朝、本番に備える桜子が体調不調を訴えます。過労かと思われましたが、重病の結核に侵されていることが発覚します。達彦はその事実を桜子に告げます。
達彦の子を妊娠した桜子が、重病の結核に侵されていることが発覚し、出産に耐え切れないだろうと判断し、達彦は中絶を勧めます。しかし、必ず産みたいと桜子の遺志は固く、中絶という言葉を撤回します。
1948年(昭和23年)3月、桜子は帝王切開により無事男児を出産。「輝一」と命名し、家族と喜びをわかちあいました。
しかし、病状は悪化し、夏の終わり、達彦は西園寺の協力を得て、ラジオ放送で桜子の曲をピアノ演奏し、病床の桜子を励まします。
達彦の演奏に感銘を受けた笛子達は8ミリカメラを調達し、病気によって赤ん坊を抱く事ができない桜子のために赤ん坊の笑顔を撮影。その映像を目にした桜子の心に様々な思いが去来します。「お母さんの人生には、素敵なことが山のようにあった。その中でも一番素敵なことはあなたのお父さんに出会えたこと、そして、あなたに出会えたことです。意味のない人生なんてない、輝きのない人生なんてない、寂しいときはピアノを弾いてごらん。お母さんはそこにおる。ほら、あなたのそばにおるよ」
桜子は病床で作った「まだ見ぬ子へ」という曲とともに綴ったメッセージを通じて、自分の人生が儚くも輝きに満ちていたことをわが子に伝えます。

戦争に揺れる激動の昭和を駆け抜け、音楽への夢と愛を貫くヒロインや家族たち。波乱万丈で音楽だけでなく家族のこともテーマにしています。突然一家の大黒柱を失った兄弟4人は、現代家族の絆が希薄になってきている世の中ですが、家族同士が助け合い、暖かさ、明るさ、辛抱辛さなど女性達の生命力を感じ、感動します。

30日間無料で「純情きらり」を見る

出演者

  • 有森(松井)桜子:宮﨑あおい(少女時代:美山加恋
  • 有森(杉)笛子:寺島しのぶ(少女時代:北乃きい)
  • 有森(河原・鈴村)杏子:井川遥(少女時代:尾千瑛)
  • 有森勇太郎:松澤傑(少年時代:佐野観世)
  • 有森源一郎:三浦友和
  • 有森マサ:竹下景子
  • 有森(鮎川)磯:室井滋
  • 沖田徳治郎:八名信夫
  • 松井達彦:福士誠治(少年時代:柳井宏輝、幼少時代:萩原駿行)
  • 松井かね:戸田恵子
  • 斉藤直道:劇団ひとり
  • 杉冬吾:西島秀俊
  • 西園寺公磨:長谷川初範

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朝ドラ「純情きらり」の感想と評価

命の大切さや家族の絆を感じるドラマ

評価: 5.0宮﨑あおいさんが初々しく懐かしいです。
主人公の有森桜子はせっかく音楽学校に合格するも家族の事情により、諦めないといけなかったり、悲しいことや苦労はいっぱいありましたが、その中にも小さな幸せが沢山ありました。
桜子は結核にかかり、子供を産むもすぐ亡くなり、短い人生でしたが、岡崎や東京などで色々な人と出会い支えられ、命の大切さや家族の絆を深く感じたドラマでした。

DVDを借りても観るべき

評価: 5.0とても濃いドラマで毎回ドキドキさせられ、切なくも感動する上品な朝ドラです。主人公の桜子が戦争の時代に翻弄されても自分らしさを失わずに明るく懸命に生きる姿が本当に素敵で、その彼女を演じた宮﨑あおいさんに魅力を感じます。

最後に・・・

朝ドラ「純情きらり」の動画を1話から無料視聴する方法についての紹介しました。

物語には現代の人に欠かせないしっかりとしたメッセージが込められています。十年以上経った今でもいろんな人々に見てもらいたいです。

TSUTAYA DISCASであれば手出し0円で連続テレビ小説「純情きらり」を視聴できます。

是非この機会に試してみてください。

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